福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -021/026page

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(2)検証と考察

 <1>  授業と考察

 本時の授業のめあてを全員で確認させ ローマ字 1 (思考場面でのグループ学習)の学級では,目標のうち特に三平方の定理の証明やその利用の基本的内容について,グループ学習により内容の理解の徹底をはかり,それから派生する内容やドリル的内容は授業では軽く扱い,家庭学習にまかせた。

ローマ字 2 (整理場面でのグループ学習)の学級では,導入と展開は統制学級(C)と同じだが,まとめの段階でグループ討議(ノートの整理,豆テストなど)をさせ,その時間の目標を達成できたかどうかを確認させるようにした。

 その結果,実験4等級は統制学級に比較して以前より授業が活発になってきた。(挙手の数が多くなってきたこと。授業終了後に質問に来る生徒が増えてきたことなどから)

 <2>  事後テスト

 単元終了直後(data1)と1ケ月後(data2)に行ない,統制群(C学級)と実験群 ローマ字 3 学級)との差の検定を行なう。

<事後テストの検定>(統制群との比較)

・data1

data1

・data2

data2

有意差 危険率5%でいずれも有意差なし

表1

比率検定−全体的には差は見られなかったので小問ごとに実施してみた。

その結果,data1においては特に顕著な差異はみられない。

data2において2問(13問中)にはっきりした差がみられた。

(おこりうる確率2%以内で有意差あり)

 ・単位の長さを与えて 数式 の長さを作図する。

  −実験4群が統制群よりよい結果を示した。

 ・2ステプで円すいの高さを求める。

  −実験3群が統制群より良い結果を示した。

 これはあきらかに見通しをたてて問題に取り組まなければならない内容である。

(3)結 論

 全体的な検定の結果すべてに有意差はみられなかった。これは実験期間が短かく,仮説について充分に実験した結果のdataであるといいきれないところに1つの原が因あったのではないかと考えられる。

強いて有意の傾向を考えてみると,標本順位検定で ローマ字 4 ローマ字 5 の,すなわち6人グループの実験群にその傾向がみられる。特にdata2における ローマ字 5 では小数第3位を四捨五入すれば0.05となり,有意差があるとみてよい。仮説の「2人グループにおける統制群との有意性」を期待するものとは異なる結果になったが,とにかくグループを構成しての授業に有意性を立証することの可能性は期待することができると思われる。

5 反省と問題点

(1)反 省

-1- 作業仮説としての学習指導案が十分なものであったか。

-2- 指導案にもとずいて授業を流したか。

  実験群,統制群の合計が5群にもなり,授業者自身が指導案を十分こなし得なかった。

-3- 実証の期間が短かすぎた。

-4- グループ学習のための理論を熟知し,生徒を十分訓練したうえで実証授業を実施したかったが,実証の期間の関係で満足できるものでなかった。

-5- 以上の反省を十分納得がいくように解決したうえで,今後も継続的に研究を続けていきたい。


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