福島県教育センター所報ふくしま No.33(S52/1977.10) -025/026page
参 考
教育相談事例研究 (その2) 用語解説
自律訓練法
ヨガ・催眠・禅の心理的・生理的研究から発展して生まれた,一種の自己催眠法で,体系化された自己暗示により,「温感」や「重感」を自己の体内に誘発させる注意集中を行なう訓練法である。
これによって,心身の弛緩を自発的につくり出し,心理的・生理的諸機能のよりよいバランスをはかることができ,心因性の各症状に効果がある。
エゴグラム
自己分析法のひとつで,50項目の行動目録を自分でチェックすることで,現在の自分の性格を次の5つに分析できるようになっている。
「父性的な親の心(厳しさ)」,「母性的な親の心(思いやり)」,「理性的・知性的な心(コンピューター的冷い合理主義)」,「自由な子どもの心」,「順応した子どもの心」がそれである。
したがって,グラフ化されたプロフィルから,いまの自分の心の中で,どれが主導権を握っているのかを一見できるようになっている。
ワンサイド・ミラー
観察される者の部屋からは,通常の鏡にしかみえないが,それによって隔てられる観察室からは透視できるガラス板である。
Y―G性格検査
正確には「矢田部―ギルフォード性格検査」と呼ぱれ小学生用・中学生用・高校用・成人用に分けてある。
事例報告の図―1の縦に配列されてあるような12の性格特性について,標準尺度で表わしたプロフィルから,情緒安定性・杜会適応性・向性の類型をみることができるようになっている。
それぞれの類型は,「A型(平均型)」・「B型(不安定不適応積極型)」・「C型(安定消極型)」・「D型(安定適応積極型)」・「E型(不安定不適応消極型)」に分類され,さらにそれぞれを典型・準型・混合型の15種の型に分け判定するようになっている。
親子関係診断検査
10分類(事例図―2参照)100項目の行動目録にチェックさせた結果から,親の子に対する態度の傾向をとらえようとする検査である。(親用)
パーセンタイルに換算されたものをグラフ化した場合,同心円の一番内側が安全地帯・その外側が準危険地帯・更にその外側が危険地帯にあたる。
パーセンタイルが低い程問題視される。親用の他に子用の検査もあり,子どもの問題徴候を7つに大別してみられるように工夫されている。
口ール・プレイング
役割演技による一種の心理療法で,目的によって,心理劇・社会劇の二つに分けられる。
これが,心理療法に用いられるのは,役割の演技によって,相手の立場が理解され,自分の現実の役割行為を反省し,改めることができるようになってくることもひとつのねらいになっているからである。
この事例では,母と子の役割交換による演技が効果的であった。
小集団カウンセリング
この事例で用いられた小集団カウンセリングでは,8人の親たちを,デスカッショングループと観察者グループの二つに分け,「話題について話しているときの感情の動き」について,観察し,それをフィードバックしたり,グループ交換をしたりして進めた。
これは,MLT(マイクロ・ラボラトリー・トレーニング)などと呼ばれる,グループ・カウンセリングの一種に近い方法である。
上記のようなやり方で,登校拒否症などで葛藤状態にある子どもの情緒を親が心底から理解できるように,感受性を高めることをねらえば,「感受性訓練」の一方法としても効果をあげることができる。
感受性訓練
人間関係改善のために,人間相互の感受性がかなり重要なことに着眼し,1947年ごろ,アメリカの心理学者によって開発されたものである。
徹底した効果を上げるのには,合宿形式で集中的に行なうのが良いとされているが,通いで体験させても,かなりの効果をあげることはできる。