福島県教育センター所報ふくしま No.34(S52/1977.12) -002/026page

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小 学 校 教 材

2年教材「音」の指導に関する一考察

第2研修部  神  山  道  夫
 

  1. はじめに

 低学年の区分B教材に対する興味・関心が強く,その中でも児童自身がその物を製作あるいは操作し,活動的に学習できる教材が好まれる。ある調査によれぱ,小学校2年の音の教材について,男子で94%,女子では87%の児童が学習しておもしろかったと答えている。これに対して52%の教師が指導しにくかったと答えている。

 このことから,ごく身近の現象である音に対して,糸電話などの操作を通すことによる児童の興味は非常に高いものであるが,目でとらえることのむずかしい振動という現象を児童に理解させることに対する教師の側からの困難さをよみとることができる。

 そこで,この教材を扱う上での実験のしかたや指導のポイントについて考察を加えてみたいと思う。

  2. この教材のねらい

 音の学習での中心となる概念は,「振動している物が音をつくる」ということである。2年では,音が聞こえているときは音を出している物が震えていること,またその震えが伝わっていくことを遊びや操作を通して理解させることになる。

 音は,ごく身近にある現象で,児童にとってなじみすぎているものである。しかし,音を出している物がどのような状態になっているかについての認識は非常にうすいものである。すなわち,音の本質である振動が目に見えないほどの速さのものであるため,音に対しての知覚としては聴覚だけにたよらざるを得ないのが一般的な現実である。

 この教材では,このようにとらえにくい音に対して興味・関心を持たせ,聞こえる音と,音を出している状態とを関係的に見たり,音を出す操作はちがっても音を出しているものはどれも震えているという共通の事象をとらえることにより,音の実態にせまろうとするのがねらいである。さらに,音を出す物を糸や針金で結んだとき音が伝わる事実をとらえ,振動が伝わることの認識をもたせることになる。

 なお,現行学習指導要領では「糸などが震えを伝えること」を扱っているが,新学習指導要領では「糸などが音を伝えること」となり,震えがどのように伝わるかまで深く扱う必要はないこととされている。

この学習は,5年「音の出方や伝わり方」における
  • 物の震えの幅により音の強さが違うこと
  • 音は空気,水などを伝わって広がること
  • 音の反射
  • へと発展する。

      3. 音と振動についての指導

     この時間に扱う内容のポイントは,音を出すための操作はいろいろあっても,音を出しているものはすべて震えているという共通点をもっていることを理解させることにある。音に対する既有経験としては,聴覚だけにたよってきているのが現状である。したがって,音の実体にせまるためには,まず聴覚を離れて触覚や視覚を通して「音を出している物は振動していること」を感じさせたり見させたりすることが必要であり,それが聴覚による知覚と一致することを確かめることによって音についての理解をさせることができる。

    (1)  導入の段階における演示実験例
     音を出している物が,音を出していない物とどこかが違うという状態を目で見ることは,児童にとっておおいに興味のあることであろう。このような演示は,OHPを用いて全児童に観察させるのが効果的だと思われる。
     (実験)OHPを用いて,シャーレに水を入れたものに,なっているおんさとなっていないおんさをつけ,その違いを観察させる。
    おんさによる実験
     なっていないおんさは,何も変化がないが,なっているおんさでは,シャーレの水をはじきとばすとともに,水面の波を観察することができる。このことから音を出している物は,音を出していないときとくらべどこかが違うことに気付かせることができ,本時の目

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