福島県教育センター所報ふくしま No.38(S53/1978.10) -018/030page

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・等分散の検定(F検定・両側)
   F=1.89, F(39.39両側5%)=1.88 
   ∴ F(39.39両側5%)<F
 よって,有意水準5%で有意差は認められる。

○平均の差の検定 (t検定・片側コクラン・コックスの方法による)

 t=3.92, t(38片側5%)=1.697 
   ∴ t(38片側5%)
 よって,有意水準5%で有意差は認めらる。

イ.観察評価

 問題意識の高まりについて,評価の観点の予習と発言によって見た。右の図ア(丸囲み),イ(丸囲み)のがそれである。

2.実験群の授業のようす。

 実検群で対立する実検を観察させ,そこから疑問や予盾に気づかせて,その疑問や矛盾について話し合い,解決の見通しを立てる指導を行ってきたので,以前の授業より発言が多くなり,活発に学習するようになってきた。疑問や矛盾を解決するための実験なども,早く作業にとりかかりたいという積極さが見られ,スムーズに授業が進められるようになった。

 特に,今までの授業で,いつも聞き手にまわりだまっていた生徒や実験も他の生徒がやるのをじっと見ていた生徒が,ときどきではあるが発言したり,積極的に実験に参加してくれるようになった。

3.考 察

ア.事後テストの有意差の検定では,等分散・平均の差に有意差が認められた。<表7>
 イ.事後テストの問題別の正答率を見ると,小問 8,12,13を除いては,統制群より実験群のほうがよいという結果がでた。<表7>
 ウ・予習,発言の評価の観点から見ると第3時以後においては,統制群と実験群との間にはっきりと 差があらわれてきた。<図1・2>
 エ.7時間の授業を通して見ると実験群のほうは統制群より疑問や発言などの数も多く,生徒ほ積極的に授業へ参加するようになってきた。

4.結 論

 対立する実験の提示は,生徒の問題意識を高めるには効果があると認められる。問題意識を高めるには,教師が単に問題を提示するのではなく,本時または2〜3時間のまとまりのある学習に関する事実や現象(対立する実験)を観察きせ,しかも生徒に疑問や矛盾に気づかせ,その疑問や矛盾について話し合い,解決の見通しを持たせることがたいせつである。

ア(丸囲み) 予 習
ア(丸囲み) 予 習

イ(丸囲み) 発 言
イ(丸囲み) 発 言

5.反省と問題点

(1)仮説として考えた「対立する」実験は,第―分野の場合提示する事実や現象がわりあい豊富にあり,提示するのも容易である。しかし,第二分野の場合は,十分な教材研究の上でのくふうが必要であると考えられる。

(2)対立する事実や現象を提示する実験から,生徒に疑問や矛盾に気づかせることは容易であるが,その疑問 や矛盾を解決の見通しへつないでいく指導技術のくふうが必要である。

(3)問題意識というのは,生徒の心の中にあると思われ,感情に支配されることが多いのではないかと考えられる。したがつて,授業の満足感のつみかさね,教師との人間関係,学習のふんいき等に支えられて,問題意識が高まったり,持続されたりすると考えられるので,この研究を継続したい。

6.参考文献

(1) 文部省     中学校指導書,理科編
(2) 橋本 重治   新教育評価法総説
(3) 小野寺明男   教育研究法

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