福島県教育センター所報ふくしま No.39(S53/1978.12) -001/030page
巻頭言
小 3 ・ 中 1 ・ 高 1
科学技術教育部長 土田 枝直
ある県で調査した登校拒否児童・生徒数の一覧を見ていたら,小3・中1・高1で急な増加,それも倍増と言える増え方をしているのでおどろきました。
そこで,当教育センターで51年度まで実施してきた診断学カテストの各学年における正答率を比較してみたところ,国語では小3で,算数・数学では小3・中1で急落しておりました。
小学校で正確に定着しなかった分数や小数,比例などの概念や計算力は,中学校・高等学校と進んでも誤った理解のまま進行し,落ちこぼれの原因になっていることは国立教育研究所の調査はじめ多くの調査で明らかにされているところであります。
また,小学校下学年時でしっかりした読み書きの能力が身につかないでいると,他教科の内容理解がじゅうぶんでなくなり,学校嫌いをつくる要因にもなります。
小3・中1・高1はまた,教科書の内容が急に変る学年でもあります。教科書の大きさはもちろん,文字の大きさと数,文章の表現など大変な変り方です。
これは別の見方をすれぱ学習のすすめ方にも変容がおこることでもあります。
そして,これまた当然のように担任の先生が代ります。特に中学校からは教科担任制となって子供達は,多かれ少かれとまどいを感ずると思います。
私が担当している理科教育の面では小3・中1・高1は理科嫌いを生みだす学年でもあります。
このように考えてゆきますと,従来,とかく甘く見がちだったこれ等の学年が,実は大変難しい学年だったことがわかります。
小・中・高一貫した教育がなされなければならないということが言われておりますが,私達教師は,教科書にのみ引きづられることなく,子供たちの発達段階をよくおさえて,より適切な学習活動を展開させてゆくよう心掛けたいものと思いました。