福島県教育センター所報ふくしま No.39(S53/1978.12) -002/030page

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小学校教材

1年教材「じしゃくあそび」の展開について

科学技術教育部  神山 道夫

1. はじめに

新学習指導要領における低学年の内容は,「……を使った活動を工夫させなから,……に気付かせる。」というように表現され,見たり,探したり,作ったり,育てたりするなどの具体的な活動を通して,自然の事物・現象に対して直接はたらきかけることが特に重視されている。

「じしゃくあそぴ」の教材内容については,現行学習指導要領と比べて大きく変わった点はあまりないが,この趣旨を生かし,児童の自由な発想を大切にしながら,児童が積極的に活動し,しかも学んでほしい内容を児童自身で発見できるような展開のしかたを工夫していくことが必要である。

磁石を使って遊ぶことは,これまでにほとんどの子どもが経験しているものと思われる。磁石の持つはたらきの不思議さは,子どもの興味をかきたててくれる。しかし,遊んでいる過程で,磁石によって引き起こされる現象のおもしろさに興味をひかれながらも,磁石の持つ不思議さをきわめるには至らないのが実状ではないかと思われる。したがって,この単元では,磁石を使った遊ぴを存分にさせることによって,磁石を使った活動の楽しさを味わわせるとともに,磁石のはたらきに気付かせていくようにすることがねらいである。

2. 指導計画

(1) 指導要領との関連

この単元に関する現行指導要領と新指導要領の内容を比較してみると,磁石に付く物と付かない物とがあることについては共通であるが,現行指導要領に示されている

・ 引きつける力は端ほど強い
・ 引きつける力は空間や物によって隔てられてもはたらく

ことについて,新指導要領では「磁石のはたらきに気付かせる。」とあるだけで内容が明示されていない。

これは,新指導要領の趣旨から考えて,単に知識・理解としての内容を指導するのでなく,あくまでも磁石を使った活動を工夫させるたかで気付かせたいという意図のあらわれであろう。

したがって,磁石を使った活動をするなかで現行指導要領に示されたはたらきについて気付いてくることは考えられるし,さらに同極同志が反発することについて気付く児童も出てくることが考えられる。

このような自由な発想のもとに,多様な活動を生み出させ,そのなかから磁石の持つはたらきに気付かせていくような指導計画が必要である。

なお,児童に与える磁石はできるだけ強力なものを用い,磁石が鉄を「引きつける」ことを体得させたい。

(2) 指導計画   6時間扱い

<第1次> 磁石遊ぴ (1時間)

自由な試行による磁石遊びを通して,磁石が鉄を引きつけることのおもしろさや不思議さを味わわせるとともに,磁石に付く物と付かない物とがあること,磁石の力は空間を隔ててはたらくことなどを体験させ単元の導入とする。

<第2次> 魚つり大会  (1時間)

前時の活動を受け,魚つり大会などの遊ぴを通して磁石に付く物と付かない物とがあることに気付かせる。

<第3次> 磁石の力くらべ  (2時間)

磁石が鉄を引きつけること,およぴその力は空間や物を隔ててはたらくことなど磁石のはたらきのおもしろさに気付かせる。

○ 磁石によるくぎの持ち上げ競争などの遊ぴを通して磁石のはたらきに気付かせる。
○ 砂鉄を集め,それを用いた活動を工夫する。

<第4次> 磁石を用いた遊ぴの工夫  (2時間)

磁石を用いたおもちゃを作ったり,それを用いた遊びを工夫することにより,磁石のはたらきに対する認識を深めさせる。

3. 展開例

(1) 第2次  魚つり大会


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