福島県教育センター所報ふくしま No.39(S53/1978.12) -004/030page

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4. 磁石を用いた活動の具体例

(1) 磁石の強さ

○ 紙の上に砂鉄を広げさせて,自由に活動させる。紙の上に磁石を置いて砂鉄を付けたり,紙の下から磁石を操作し砂鉄を動かすなどの活動が予想される。砂鉄が磁石の端の方によく付くことや,紙などを通しても磁力がはたらくことなどに気付かせるとともに,その後の磁石を用いたいろいろな活動(遊ぴ)に発展できる。

写真1 モールの模様
写真1 モールの模様
○ 砂鉄の代わりにモールを短く切って用いると,磁力線の向きにそってモールか並ぴ,色彩的にも美しく楽しい遊びができる。(写真1)「お花畑を作ろう」などの活動が工夫できる。

(2) 魚つり大会

○ 従来扱われていた遊びであるが,魚の口にいろいろな物を付け,磁石でこれをつり上げる。

○ また,前記展開例のように,魚の口にフェライト磁石を付けておき,「魚の好きなえさは何だろう。」というようにえさに鉄くぎや真ちゅう,クリップ,10円玉などを用いて付く物と付かない物を分類する活動もおもしろい。

(3) 顔つくり

○ 現在の教科書にも示されているが,厚紙や塩化ビニール板などの台紙に顔の絵を書いておき,目・鼻・口などを書いた紙の裏にクリップなどを付けておいて台紙の下から磁石でこれをあやつりながら付けていく「ふくわらい」の遊ぴである。ひげやまゆげ,かみの毛などには砂鉄やスチールウールなどを用いると楽しく遊ぶことができる。大きな顔を書いてグループで遊ぶのもおもしろいだろう。

(4) 人形遊びや舟遊びなど

きびがらで作った人形に画鋲を付けたり,画用紙に人の絵を書いたものにクリップを付けて下敷やガラス板の上にのせ,下から磁石で操縦して遊ぶ。同じような方法で旗取りゲームなどをさせるのも児童の興味を引くだろう。

また,木の葉や紙で作った舟に針やクリップを付けて水に浮かべ,磁石で動かして遊ぱせるのもおもしろい。針の代わりに小さな磁石を舟に付けて,それを別の磁石で操縦して遊ばせることもできる。

(5) その他の遊びの例

○ 磁石の同極同志が反発することは3年の内容であるが,遊びの中から児童が気付いた場合には無理のない範囲で取り上げてよいと思う。むしろ磁石遊びの多様な発展として児童の興味を引くことと思う。

写真2 蝶の舞い
写真2 蝶の舞い
写真2は,磁石に蝶の絵を付けたものをゴムひもでつるし,ゴム磁石の上にさげたものである。蝶が花を求めてひらひら舞うように動いておもしろい。

○ また,写真3、4は磁化した縫い針を極を同じ向きにして発泡スチロールなどにさして水に浮かしたもので,磁石の極を変えて近づけると集まったり広がったりして興味ある遊びができる。理由についてふれることは1年では無理であるが,磁石のはたらきの不思議さを見せるのにおもしろい遊ぴである。

写真3 異極の場合
写真3 異極の場合
写真4 同極の場合
写真4 同極の場合

なお,針を磁化しない場合には,磁石に引きつけられて針が集まってくる。これは,磁力が空間を隔ててはたらくことの遊ぴとして1年の教材として扱える。これを扱う場合には,事故防止の上から針の先を切って与えるようにすることが必要である。

5. おわりに

遊ぴなどの積極的な活動を取り入れていかに楽しい理科を展開していくか,今後の指導にいろいろな課題が横たわっている。本単元の展開についても,まだ研究すべき点が多く,児童の実態によっては当然異なった展開が予想される。先生方の授業展開の上で参考にしていただければさいわいである。


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