福島県教育センター所報ふくしま No.39(S53/1978.12) -005/030page

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高等学校資料

英語学習に興味や意欲をもたせるために

―ひとりでできる授業診断―

教科教育部  斎藤栄二

1. はじめに

第13回福島県高等学校英語教育研究大会は,9月の27・28の両目にわたって磐城女子高等学校を会場としておこなわれた。その第2分科会のテーマが,「英語学習に興味や意欲をもたせる工夫」であった。主催者側も実によいテーマを取りあげてくださったと思う。実際のところ,生徒が英語に興味を持たないということは,日本国中どこの中学からも高校からも聞こえてくる嘆きである。その意味ではこのテーマは,英語を教えはじめるそれこそ一番のスタートにこなければならない問題ともいえる。そして,何らかの方法で,生徒に英語学習に興味や意欲を持たせることができたとすれば,英語指導の大半は成功したといっても決して過言ではない。当日第2分科会に出席していた一員として,本稿ではこの問題について考えてみたい。

2. なぜ英語学習に対する興味や意欲を失うのか

兵庫県のある県立高校の分校においておこなわれた調査によれば,「英語が好きですか」という質問に対して,全体の68%以上が「きらい」と答えている。

表1「なぜ英語がきらいですか」
(「きらい」と答えた者のみ)
文法,構文が むずかしいから
全体的に授業が わからないから
授業が楽しくないから
単語が わからないから
先生がきらいだから
発音(読みも含めて)が むずかしいから
英語は必要だと思わないから
25.9%
20.7
18.2
16.6
11.2
 4.3
 3.3
(アンダーライン筆者)

さらに上の表より,きらいな理由の両横綱が,わからたいからとむずかしいからであることがはっきりとわかる。その両方をあわせれば,実に67.5%にもなる。また同調査の中で,「英語を勉強しなければならないと思いますか」という質問がなされたか,73%の生徒が,「思う」と答えている。以上のことから生徒の側にたってその感じ方を追ってみると,「英語は勉強したければならないとは思っている。だが嫌いである。その理由はむずかしいし,わからないから。」ということになろう。

英語を勉強しなければならないと考えている生徒が実に73%を占めているのにもかかわらず,その英語をきらいと答えた生徒が68%以上というのは,これは,もう悲劇に近い。

生徒にとって,これほどのフラストレイションはない。だかこれは,多かれ少なかれどの生徒にも通ずるきわめて典型的な一般的状況であると思われる。そこで,ではどうすればよいのか。教師の努力は,まずどうやったら生徒にわからせることができるかという一点に集中すべきであるのはきわめて明らかであろう。

3. わからせるための工夫

わからせるための工夫をいろいろする前提として,まず教師がやらなければならないことは,自分が現在やっている授業によって本当に生徒がわかっているのかどうかをつかむことである。これは当然のことのようだが実は案外やられていない。たとえば,現在まで,教師として,生徒に自分の授業についての感想を直接聞くなりあるいは書かせるなりしてみたことがあるかを振り返ってみるとよい。その回数はきわめて少ないにちがいない。中には1度もないというのも多いであろう。教師は,「そんなこと,毎目生徒の顔をみていてわからんようでは,プロの教師ではない。」などとたかをくくりがちである。しかしはたしてそうであろうか。筆者の授業の実践の中から,少し生徒の声を聞いてみたい。

先生は,名まえを呼ぶとき,ある人には「さん』づけで,ある人には「ちゃん」づけで,または呼びすてだったりして問題がおきます。かわい子ちゃんだけ「ちゃん」づけかと誤解がおきます。気をつけてください。


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