福島県教育センター所報ふくしま No.40(S54/1979.2) -006/030page

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教育工学

本県における教育機器利用の現状はどうか

― 公立小・中学校,県立学校の実態調査から ―

経営研究部  須賀 紀一

1. はじめに

本誌の前号で「本県における教育機器並びに視聴覚教育施設の現状」について報告したが,教育機器の充実にともないその利用について関心が高まり,利用の実態は握も必要になってきた。

今回はこの教育機器の利用に着目して,前回と同じ調査で行った県下の公立小学校,中学校,高等学校,特殊学校(盲,聾,養護学校)の全校を対象とした教育機器の利用状況調査についてまとめ,その結果の概要を報告する。

調査の内容は教育機器利用上の基礎資料を得るために必要と思われるもので,
・どのような機器がよく利用されているか,
・どの教科,領域でよく利用されているか,
・機器活用のための研修はどのように行われているか,
・利用上どのような問題点があるか,
についてである。

なお,教育機器利用についての調査は,所有状況調査等と異なり学校全体の実態を的確にとらえることが困難で調査紙の記入にあたってはかなり苦労され,主観的な見方も多かったことと思われる。そこで,調査結果は一応数値でまとめているが,数値がそのまま実態を正しくとらえたものとしてでなく,県内諸学校の教育機器利用のおおよその傾向を表わすものとして参考にしてぼしい。

また,教育機器の利用では機種別の利用場面・利用内容の調査にまで触れる必要があったが,それは今後の調査研究に待っことにした。

2. どのような教育機器がどの教科・領域で利用されているか。

調査にあたっては,おもな教育機器名,教科・領域名をあげておき,これらの機器を半数以上の教師が利用,1部の教師が利用,利用されていないに分けるとともにひんぱんに利用,と時々利用(担当教師が学期1〜3回程度)にわけ該当する教科・領域に印をつける方法を採用した。

ここではひんぱんに利用と時々利用を合わせて集計したデータを用い,その分析をしてみる。

(1) 教育機器の機種別の利用状況

次頁(図1)左側の円グラフは,教育機器の利用度数を比較しやすいよう百分率になおし,グラフ化したものである。

これをみると小学校はOHP,テープレコーダー,テレビ受像機,スライド映写機,16ミリ映写機の順に,中学校はOHP,テープレコーダー,スライド映写機,TP作成機,テレビ受像機の順に,高等学校ではテープレコーダー,OHP,スライド映写機,16ミリ映写機,VTRそして特殊学校ではテープレコーダー,スライド映写機テレビ受像機,OHP,16ミリ映写機の順に利用されていることがわかる。

OHP,テープレコーダー,スライド映写機は学校種別に関係なくよく利用されており,学校種別の特徴としては,小学校ではテレビ受像機の利用度が他の学校より高く,中学校では特にOHPの利用が多く,それに関連してTP作成機の利用度も高くなっている。高等学校では16ミリ映写機,VTRが,特殊学校ではテレビ受像機,16ミリ映写機が高い利用度を示している。

また,利用度は低いが,小学校でシート式磁気録音機中学校では反応分析装置,高等学校でテレビカメラが入っているのも特徴の1つとしてみることができる。

このような調査では,所有率の高い機器が当然利用度数も多くなるわけであるが(機種ごとの利用率,機器所有校ごとの利用率は別に研究紀要で報告する),8ミリ撮影機,8ミリ映写機,中・高でのテレビ受像機は所有率が

〈表1〉機種ごとの利用頻度の高い教科(中学校)
機器 順位
1 2 3 4 5
テープレコ一ダー 英語 国語 道徳 音楽 学指・活
OHP 理科 社会 数学 技・家 国語
スライド映写機 社会 理科 美術 道徳 保体
テレビ受像機 理科 特殊学級 社会 保体 英語
テレビカメラ 保体 理科 学校行事 技・家 社会
VTR 理科 社会 保体 英語 学指・活
カメラ 学校行事 理科 学指・活 保体 技・家
8ミリ撮影機 学校行事 保体 学指・活 理科 社会
8ミリ映写機 理科 学校行事 社会 保体 学指・活
16ミリ映写機 理科 学校行事 社会 道徳 保体
コンセプト映写機 保体 技・家 理科 美術 社会
シート式磁気録音機 数学 特殊学級 英語 保体 理科
反応分析装置 数学 社会 理科 英語 道徳
TP作成機 理科 社会 数学 国語 技・家
※LLは英語でのみ活用されている。


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