福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -007/034page
えるには不便であるので、写真のような装置を設計製作した。(製作は福島AVセンターに依頼)
これは、OHPと同様に、水平に置いたものを撮るのに便利で、指示なども容易であり、利用しやすい。さらに、この装置には、フィルム教材も利用できるように反射鏡を用いて図−2のBの装置を、また、文字の筆順や書道の際の運筆の有様を手先に妨げられないように画面に出す装置を加えて、マルチ的な教材提示装置とした、図−3は、この原理を図示したものである。
欲を言えば、TVカメラを2台設置したいところであるが。まだ普及率の低い実状を考え、必要に応じて手持のカメラをセットできるようにしている。
既製の教材提示装置は、カメラを含めて数十万円もするが、この装置で十分実用に耐えられ、利用途も広い。製作にかかわる詳細については紀要に掲げるが、その構想図を図−4に示したので、装置の原理について理解いただきたい。
(1)、資料の提示と各種映写機の利用
・ステージは透過スクリーンと兼用するため、くもりガラス(B5版)を利用した。
・TVカメラの支持ポールは、ステージの右上にし対面操作できるようにした。
・TVカメラにはクローズアップレンズをつけた。
・本機のTVカメラは、日立カラーテレビカメラVK-C700(\218,OOO)を用いた。
○図書等の資料の他に顕微鏡をセットすれば、顕微鏡下の世界を全体で観察できることにもなり、他の機器との利用途も広い。
(2)筆順・書道に有効な書写装置(仮称)
・資料提示のステージと並べて左側に同サイズの透明ガラスのステージをとりつける。
・カメラはステージとの位置関係もあるので、向い側から倒立にセットするようにした。
この装置は毛筆やマジックインクなどで半紙又はキリン紙等に記入していく様子を、インクのにじみを下面からとらえていく方法で、記入している手先が映らず、運筆のありさまが誠によく観察できる。
(3)フレキシブルスタンドの付加
子どもの製作品や、模型、標本、あるいは、演示などを適切な位置からとらえるために左図のような自在アームをオプションとして取付け、より広範囲に利用できるようにした。尚ヘッドの部分の雲台は市販のものを用いている。4、利用上の留意点
映像の利用(提示)は、子どもを「見させられる側」に立たせてしまう欠陥を持っているので、機器の位置づけ、利用の方法、そして提示の内容などについて、本時の目標や学習活動との関連を十分考慮して、より有効に利用していきたいものである。
映像を利用して事実を認識させる場面、映像から課題を発見する場面、変化や推移を予測・推論する過程、組み立てた論理や考察を実証するための資料の提示等々、映像として提示することが最も適切である学習内容を「選ぶ」こと。更に単なる知識の注入ではなく、考えたり、発見したり、発表したりという「学ぶ活動を誘発する」ものであること。また実体験すべきものと代替体験せざるを得ない内容を区別し、すべてを「映像に依存」することのないよう指導計画を立てる段階で配慮しておきたい。