福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -006/034page

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(1) 実物の提示

1. 観察方向(視点)の共有化

 教材教具の提示や演示の際に、同じ事象や事物を観察させているつもりでも、子ども達の各自の席からは様々な位置関係で観察していることになり、必ずしも適切な見方をしているとは限らない。殊に、複雑な模型や小さな実物などに至ってはなおさらのことである。最も適切な位置からカメラでとらえることによって、子ども達全員がスペシャルシートでの観察が可能にをり、共通理解に基づいた学習が展開できることになる。このように、提示や演示にテレビカメラを併用することによって、その効果を更に高めることができるわけで、目前にある物体や事象を直ちに映像化できるのはテレビカメラをおいて他にはない。

2. 映像の同時性

 フイルム教材、TP、ビデオ教材と異なり、現在進行している事象や結果の定まっていないことがらを直接観察するかたわら、その必要部分を最適のアングルでとらえて提示することによって、「再生映像」にない現実性が加わる。映像そのものは間接的なものであるが「生映像」は直接体験そのものとなってとらえられる。しかも、今後どのように変化し、いかなる結果があらわれるのかという期待感を持たせ、未知なものに対する探究心を刺激するのにも有効である。つまり、目前の事象とその映像が同時に進行していくことによって、同質のものとしてとらえさせることができ、同じテレビ映像であるテレビ放送やVTR映像よりも実感を伴った映像となるわけである。

3. 提示の即時性

 従来は、写真資料など教材として価値あるものを収集しても、そのままでは直ちに提示できないことが多く、かなりの時間と手数をかけてTP化したり、スライド化せざるを得なかった。しかし、テレビカメラは直ちに映像として提示できるのでかなり豊富な資料の活用が可能になる。被写体は、手元の図書や写真、フイルム、ノートなどの学習の内容、製作物など、平面・立体を問わず提示でき、多様な学習活動が可能になる。


(2) フイルム教材の活用

 これまで、16o・8o・コンセプト等の映画教材あるいはスライド数材などかなりの費用をかけてその充実に努めてきて括り、その有効性も高く評価されているが、利用面では必ずしも十分とはいえない、これは、明るい教室では、その性能が十分発揮されないためで、簡単に暗室化できない普通教室での利用の悩みの一つである。その点でテレビ映像は解像度や迫力に欠けることはあるが、明室での利用が可能であり、透過スクリーンに比べれば、はるかにサービス範囲が広い。
 フイルム教材は、図―2 の方法で簡単にテレビ映像化できる。更にこれを指導過程に応じてVTRで録画しておけば、授業の際にはスイッチ1つで直ちに提示でき、機種毎の準備や繁雑な操作、それに伴うデッドタイムを省くことにもなり、より効率的な学習を展開させることができる。また、VTRは映写機に比べて駆動音も少なく、停止・早送り等も可能で必要に応じた提示ができる点でも便利である。

図-2 フィルム映像のビデオ化の方法
図-2 フィルム映像のビデオ化の方法

 このような方法をとり入れることによって、とかく眠ってしまいがちな貴重なフィルム教材を再検討し、指導計画に位置づけ、計画的な利用をはかりたいものである。



3、マルチ教材提示装置の試作

 TVカメラは、一般に三脚に取りつけて利用することが多いが、図書の資料など平面的なものをとら


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