福島県教育センター所報ふくしま No.45(S55/1980.2) -009/034page

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−生徒指導(その4)−

集 団 指 導 の 課 題

 経 営 研 究 部

原   洋 
佐藤信義

[ 問い 15 ]   「望ましい集団活動」とはどのようなものをいうのでしようか。

[答   え]   学習指導要領には、特別活動の目標として、「望ましい集団活動を通して・・・・」とのべられています。ここでいう「望ましい集団活動」を「望ましい集団」の活動、と解すれば、集団の成立・維持・発展のために必要な要件が問題となります。この点について文部省「集団場面における生活指導(生徒指導第4集)」は、次の5点をあげています。

(1) 目標について、共通の理解をもっていること。
(2) 集団の成員間に心理的結合があること。
(3) 役割の分化がみられ、役割についての共通理解をもっていること。
(4) 各成員に所属感があること。
(5) 各成員の個人的要求が充足されること。

 しかし、これらの要件は、集団の機能を成立・維持・発展させるための要件とは言えますが、「望ましい集団活動」と言いうるためには、さらにその集団のもつ規律が民主的なものでなければなりません。すなわち、集団の成員のひとりひとりの人格が尊重されるとともに、民主的な規律が集団成員の行動基準となるような活動であってはじめて「望ましい集団活動」と言えるわけです。
 したがって学級(ホーム・ルーム)、児童会(生徒会)、クラブや部などの諸集団を「望ましい集団」として育て、「望ましい活動」を展開させるためには次の点に留意して指導することが必要です。

(1) 目標が成員によく理解され受容されて行動の原動力となるものであること。
(2) 目標の設定において成員の参加があり、設定活動を通して民主的な人間関係が育成されるようにすること。
(3) 話し合い活動が成員の発達と満足感をもたらすものであること。
(4) 集団活動を通して成員の相互理解がうながされ深められるものであること。
(5) 成員ひとりひとりの個性の伸長が図られる集団活動であること。
(6) 他の批判に耳を傾ける「開かれた集団活動」であること。
(7) 役割が民主的に決められ、各成員がその責任をはたすとともに、誰でもが他の援助を受けることが出来るような雰囲気をもつこと。
(8) より高い価値を追求する成員の創意工夫が尊重されること。
(9) その活動が他の集団にも好ましい刺戦を与えるものであること。
(10) 活動が成員により自己評価され、絶えず改善がはかられるものであること。



[ 問い 16 ]   集団の規律について、どのように考えたらよいでしようか。

[答   え]   集団が統一をもつ集団として成立するためには、共通の目的を白主的な共同により実現するための規律が必要になります。もし集団に規律が維持されなければ、成員はそれぞれ自己の利益を守ることに熱中したり、成員間に衝突が拾きたりして、その調整に多くのエネルギーを費すこととなります。
 規律と言っても、とくに幼い子どもの集団では、当番とか係の仕事などのように集団生活に不可欠の基本的なものは、習慣形戒という形で訓練する必要があります。もし、その習慣が破られたとしても、それは不道徳なもの、罰せられるべきものというより、他人に迷わくをかけ、それが、お互いの信頼や協力の妨げになるからいけないのだということを、集団活動を通して反省させることが大切です。つまり、規律の必要性が認識され、それが、内面化されること


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