福島県教育センター所報ふくしま No.50(S56/1981.2) -013/042page

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学習指導と教材

中学校教材 特別活動

学級会活動の充実を図るために

経営研究部  佐藤 信義

1.学級会活動の基本的な考え方

学級会活動は,学級の全生徒をもって組織し,学校生活における諸問題の解決を図る活動,学級内の仕事の分担処理に関する活動,及び楽しく規律正しい学級生活を築くための活動を行うものである。

と,学習指導要領,中学校特別活動編に示されている。すなわち,学級会活動は,学級の全生徒による学級会の組織としての活動を主にしている,と解することができる。

また,この活動を通して積み上げられた経験は,生徒会活動,クラブ活動の基盤となり,さらに発展させられるべきものである。

このことは,今度の教育課程の基準改善の方針の一つである「人閻性豊かな児童,生徒の育成」をめざす教育機能を充実,発展させるものとして大きな期待がかけられている。
そこで,次に学級会活動に期待されるものをあげてみよう。

(1) 自主性を大きく育てたい。

このことに関し答申で配慮すべき事項のうち,特に自主性に関連あるものをあげれば,


[1] 自ら考える力を養い創造的な知性と技能を育てること。
[2] 強靭(きょうじん)な意志力を養い,自律的な精神を育てること。
[3] 社会連帯意識や奉仕の精神に基づく実践的な社会性を培うこと。

となっている。ところで,
自主性と言う語はよく,「自発性・自主性」とか「自律性・自主性」とか言うように,書きつらねて用いられることが多い。たしかに,自主性は,自発性・自律性がその基礎として含まれていなければならないものであるから,重なりあいは認めなければならないが,概念的には下記のように区別されている。


自発性とは,人間として固有に持っている欲求や,情緒が,自然のまま発現すること。
自律性とは,その行動を自から規制すること。
自主性とは,他に依存することなく,自己の正しい自由意志で判断し行動すること。

指導にあたって,重要なことは,社会化への心理的過程であろう。学級会活動において生徒たちは前述した概念通り活動するものではないと考えられる。人間は社会的な相互作用の過程の中で存在するものであり,自然のままに,したい放題にふるまうことも許されないからである。そこで,社会化の過程において,多かれ少なかれ「しつけ」が行われ自然のままの欲求や情緒に対して何らかのコントロール作用が必要であると言われている。

次に,生徒の自律性の過程は,それぞれ育てられる環境の社会的行動基準にしたがって社会化されていく。生徒が自発的に模倣していく過程(親をみならうとか,教師の行動にみならうという同一化の過程)での展開もあり,また,賞・罰の手段を用いて他律的に社会化されていくこともある。(言語的強化ともいう。)

そこで指導にあたって大切なことは,自律化をするためには暖かな人間関係の基礎の上に確固たる「しつけ」を,一貫性をもって行うことである。そうすれば,生徒の成長につれて他律的な指示や命令はだんだんと少なくなり,他人に迷惑をかけてはいけないのだ,というように生徒の自己指導が内面化されるようになると考えられる。


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