福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -032/034page
<考察>
高学年の生活指標設定段階では、低・中学年とちがい自分の得意不得意がわかり、不得意事項を継続して努力しようとしていることがうかがわれる。
評価の内容や観点、到達点をある程度予想できるので反省時における自己評価は実にきびしい結果がでている。「○」「×」では評価しにくい内容については、ABCの3段階評定も利用しているが、評価しやすい反面あいまいになる傾向もある。
6年D児(女)は、このクラスでの学習成績は上位にあるが、他の教科にくらべて体育を不得意としており意図的に体力増強をめざしていることがわかる。このように、各自が自分で選んだめあてにむかって努力を続けていることを学級担任は冷静に受けとめたい。
今まで教育目標の具現化については、ないがしろにしていたわけではないが、学校の教育目標及び学年や学級のめあてを設定する程度にとどまっていた。これを各学級の各個人にどのように意識させ意欲をもたせて努力させるかは各担任の考えにゆだねられていた。今回、思いきって全児童一人ひとりに生活指標を持たせ、毎日の生活を反省(自己評価)させ、これを習慣づけることを試みた。
結果として、児童一人ひとりが「生活指標設定」の過程で「学級のめあて」をもとにして、自分自身を鋭く見つめなにをめざすべきかについて、きびしく内省しなければならなかったことに大きな意義があったと思われる。
また、自己実現をめざして日々努力を重ねようとしている個々の児童の「生活指標」を学級担任は十分理解し、鋭く目をくばり、手ぬかりのない個別指導を繰りかえすことにより初期の目的が達成されることを期待したい。5. 今後の間題
個人の生活指標設定については、個別指導を十分する必要がある。
児童は、自分の課題について意外に無関心である。したがって、教師のよきアドバイスがその子の目標実現に大きく影響する。児里の安易な考えにもとづく指標設定は、毎日の反省に耐え得ずむしろマンネリ化の要因となる。
目標達成のよろこびを、子ども自身が認め、さらに一歩進んだ深い思慮反省ができることを願ってやまない。6. 参考文献
○ 学校経営に関する研究報告書(54年度) 教育センター ○ 現代教育研究 日本標準テスト研究会 ○ 教育学全集 1 小学館 ○ 学校経営講座 第一法規 ○ 開かれた学年、学校経営の展開 明治図書 ○ 現代教育目標事典 ぎょうせい
編集後記
水も温(ぬる)み、草木に萌芽(ほうが)のきざしが見えるという二 十四節気の”雨水”を迎えようとしている。
昨年の今ごろ、霊峰吾妻に見えるという雪うさぎ を教えてもらったが、白一色の峰からは、ついに春 先まで、その姿を見つけられないままに過ぎた。そ の雪うさぎが、雪の少ない今年は、正月から細めの 姿を見えかくれさせている。
三学期は、まとめや教育課程編成に多忙な時期で ある。精神的なゆとりと健康管理に心して、万物清 新の気にみちる”清新”を迎えたいものである。(N)