福島県教育センター所報ふくしま No.55(S57/1982.2) -031/034page
間(学級により多少の差はあるが5〜10分間)程度とし「よくできた項には○印、よくできなかった項目には×印を記入させる」。
2. 個人票作成の手順と生活指標の評価の例
上記の表を全児童に示し学級のめやすをつかませ、各個人はこれをもとに自己をじっくり見つめさせ、実現可能な「自分のめあて」を設定させた。
ア. 3年A児の生活指標と自己評価の記録
<考察>
生活指標の設定と自己評価について学級担任からの報告によると、3年A(男児)は各教科の学習成績はクラスの中の下に位置し応用力に乏しく、すべての行動がスローペースで運動能力もやや劣るということである。しかし、性格は円満でまじめな生活態度だという。この子の生活指標に対する自己評価はきびしく、毎日の反省時には、その日の生活をつぶさにふりかえり、じっくり自問自答するので、「○」「×」をつけるのに時間がかかるという。
3年B児の学習成績は上位で級中随一の女児である。生活指標設定の段階では、各項についてしんけんに考え相当苦心したようである。B児の評価を概観すると「○」の数が多く「×」印は少ないが、A児や他の児童にくらべて、その意味はちがう。B児は学習意欲が旺盛で各教科等の学習でわからない点があると、泣きながらでも最後まで究明しようという、きびしい態度だという。
以上のことから、各個入の生活指標の評価「○」「×」の意味は、各個人の評価内容や評価の観点のとらえ方、反省の深さによってちがってくる。「×」の数より「○」の数が多くなることは望ましいことではあるが「×」印が多く、しかも連日続くのが好ましくないと決めっけるのも一考を要する。それぞれ個人差が極めて大きいことを見のがしてはならない。