福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -014/038page

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受講者の感想

福島市立福島第四小学校 佐藤 米子教諭

印象に残った夜間天体観測

福島市立福島第四小学校教諭  佐藤 米子

 私は,昨年,小学校理科(B)講座参加の機会に恵まれ,24名の研修者のみなさんと理科の実験,観察の指導法や教科経営についての研修をうけることができました。私が教育センター主催の講座に参加するのは,これで3度目ですが,今回の4日間の研修は実習,実験が多く,今までになく,有意義な研修でした。

 とくに印象に残っているのは,第1日目の夜間天体観測です。天体教材の指導についての話を聞いた後,グループに分かれて,自分たちの手で天体望遠鏡を組み立てました。私にとっては,なにしろ初めての試みで,とまどうことばかりでした。福島大学教育学部の学生さんたちの手助けもあって,なんとか観測できるまでに組み立てることができました。

 そのあとの操作もなかなかむずかしく,慣れるまでに,たいへん時間がかかりました。その日は,幸運なことに,お天気がよく,月,木星,土星などの惑星,春から夏にかけての星座を観測することができました。写真でしか見たことがなかっただけに,そのときの感動は,今も忘れることができません。機会があったならば,子どもたちにもぜひ,このようなすばらしい経験をさせてあげたいと思います。

 第2日目は,貸切バスにのって野外学習に出かけました。バスの中では,みんな童心にかえって歌を歌ったり,お話をしたりして,楽しいひとときをすごすことができました。まず,松川の下流へ行き,川原に生えている植物の種類や生え方などを緑状測定で調べ,河川植物の生態分布を考えました。また川原のようす,川の流れ方などをスケッチしたり,川原のレキを調べたりもしました。中流,上流でも同じことを調べ,グループごとにその違いをまとめて発表しました。中野不動尊で昼食をとり,午後からは,穴原温泉付近や赤川上流の地層を調べました。バスからおりて,歩きながらの学習でしたが,地層の重なり方や広がりを実際に自分の目で確かめることができ,とてもよい経験でした。この野外学習によって,いろいろな知識を得ることができただけでなく,自分たちの学校の周辺の川原や川岸を教材として生かすうえでもたいへん役に立ちました。その夜は,慣れない山歩きという.こともあって,宿舎にもどるとすぐ,みんな床についたようでした。

 第三日目は,ほとんど実験と製作でした。研修者を2つのグループに分け,午前と午後の研修内容をかえての学習でした。一つのグル一プの人数が少なく一人一人,十分に指導がうけられるように配慮されていました。私の場合,午前中は,電気教材に関する実験と指導法の学習でした。講義のあと,磁石の極を調べるための方位調査実験装置と磁石のはたらきや性質を調べる実験装置を作りました。私たちの身近にある材料で,手軽にできるものでしたので,とても参考になりました。やはり,教師自身が考え工夫し,自らの手で製作しようとする姿勢が大切なんだなと,つくづく考えさせられました。午後は,物質の状態変化に関する教材の実験と指導法の学習でした。1つの実験台に2人というわり当てでしたので,思う存分実験することができました。

 四日間の研修の合間に,いろいろな教材教具の作り方も教えていただきました。昼休み,夕方,宿舎にもどってからなど,みんな時間をみつけて熱心に作っていたようです。私も太陽高度計,星座のTPなどを作り,現在学校で使用し,とても役に立っています。

 この四日間の研修は,ほとんどが自分の目でみ,自分の足で歩いて確かめるという学習で,得るところがたいへん多かったです。

イラスト


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