福島県教育センター所報ふくしま No.57(S57/1982.8) -013/038page
に投映したとき,学習者がどんな気持でそれを見,どんな反応を示すかなど,時には学習者の立場になって見直してみることも大事である。少々まずくても学習者がその映像を見て,目を輝かしたときには苦労のしがいがあるものである。それだけに自分なりのアイデアを生かし,しかも資料や素材をできるだけ学習者の身近なものから提供できるように,日頃,資料等を収集しておくことが大切である。ふだん何気なくみすごしている新聞や雑誌,あるいは新聞のチラシ広告等の中にも参考となる資料や素材はあるし,また何気なく撮影しておいた旅行中のスナップ写真が写真TP化することができたなど,思わぬところで役立つことがある。
4 TP製作の用具と材料
実際にTPを製作するのに,クリアシートとTPペンだけでは作るものにも限度がある。あらかじめ下記のような必要最少限の用具と材料だけでもいつでも使用できるようにそろえておきたい。
(1) 用具類
TPペン(油性・水性),定規,カッターナイフ,ハサミ,コンパス(できたら付属のクリッパーも),接着テープ,イレーサー,カッターコンパス,鉛筆,消しゴム,ティッシュペーパー,偏光板など。(2) 材料
クリアシート,フレーム(紙わく),カラーシート,カラーボード,モアレカラー,カラーライン,インスタントレタリング,その他特殊シートなど。
これらの用具類は空き箱などを利用して,きちんと区分けして整理しておくとよい。下の写真は教育センタ一で研修者の実習用にアクリル板を加工して作ったセットである。参考にしていただきたい。
(TP製作用具セット)・(前所員加藤邦明氏考案)5 TP製作の具体例
はじめてTPを作る先生方に人気のあるのが時計のTPである。製作技法も比較的簡単で,しかも手書き法,貼布法,回転移動法,工作法などの技法を組み合わせているので,他のTP製作のときに応用もできるので練習のつもりで作ってみていただきたい。
主な材料は,クリアシート,カラーシート(なければ大きめのラベルなどでもよい。)インスタントレタリングの数字(手書きでもよい),画用紙,スナップか鳩目金具(回転をよくするにはアクリル樹脂の丸い棒かナイロン製の棒(1〜2ミリのもの)フレーム,線香又は針金(1) まずフレームのわく内に入る大きさで時計の原図を正確にかくこと。しかもTPの場合は必ず現寸大でなければならない。文字も1から12の数字だけなら12等分でよいが,60等分で分の目盛もつけておくと利用範囲も広くなる。
(2) 原図にクリアシートを重ねて正確に写し取り文字盤を作る。数字は手書きかインスタントレタリングを使用する。
(3) 画用紙に文字盤と同じかやゝ大きめの円を切り抜き,文字盤のシートとともにフレームに固定する。
(4) カラーシートで短針,長針を作り,それぞれをクリアシートに中心部をきちんと決めてはり,文字盤より2〜3cm大きめにまるく切るが,この時重ねる順序により下になるシートの方が上のシートよりも大きくなるようにすることが大切である。
(5) 文字盤と針をはったシートの中心部に線香か熱した針金で穴をあけて回転軸が通るようにする。
(6) 最後に回転軸の取りつけになるが,軸には鳩目やアクリル棒,スナップ等で針になるシートが回転できるように止めて完成する。
参考文献
- 視聴覚教育VOL.35 No.4