福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -005/038page
小・中学校教材
季節による太陽や星の日周運動モデル装置と月の運動説明投影板
−自然現象の周期性に迫る学習− 科学技術教育部 入 道 正
1.は じ め に
天体教材は,太陽や月のような身近な天体の観測から始まり,しだいに星の世界へと連続的に広がっていく。小学校では天体の動きの観測記録をもとに,天体の一日の動きの規則性に気づかせ,高学年では季節 による日光の当り方の違いを太陽の南中高度や日照時間に着目して調べ,一年間の太陽の動きと四季の気温を結びつけとらえさせる。中学校では季節による太陽の高度や日の出・日の入りの方位の変化,四季の星座の移り変わりなどから,地軸の傾いていることや地球が公転していることに気付かせるように教材が配列されている。
ここで紹介する日周運動モデル装置は児童・生徒の生活経験を重視して天体の運動概念の形成が無理なく,天球上を太陽や星が動く様子を理解させるために工夫されたもので,季節によって一日の太陽の道すじの違いや,季節がどうしておこるかが実習を通して理解できるよう作られている。
また,月の運動説明投影板はOHPを使って教室のスクリーン上に太陽や月のモデルを投影し,その動きや月の見える時間・位置とその形などを考察させることが出来るよう工夫されたもので,それらの作り方や使用法の概略をつぎに述べる。
2.日周運動モデル装置
(1)モデル装置の特徴
・ 児童・生徒の生活体験である「月や星は大きな夜空の上を規則正しく動いている」ことの受けとめ方を生かし,装置では大きな夜空(透明半球)があって,太陽や星がその天球上を動くよう操作でき,児童・生徒の発達段階を配慮してある。・ 回転軸は地軸をあらわし,透明半球の貫かれた所が天の北極であり,天の北極から90度離れた透明半球上の赤テープが天の赤道で,天球保持台の上部アクリル板は水平面をあらわし,板上には方位と方位角の目盛りがつけてある。・地軸の傾きは,各学校の緯度にあわせて固定する
・黄色の塩ビ板ベルトは黄道付近の天体をあらわしており,四季の太陽はプラスチック球を用い,四季の太陽近くの星座が描かれており,太陽の年周運動と星座の移り変わりが一見して理解できるよう工夫されている。
・ 太陽や星の日周運動を説明するために,地軸から四季の太陽へ垂直にピアノ線が伸ばしてあるので,このピアノ線を半径にして太陽は地軸のまわりを回軸している様子が一見してわかるよう工夫されている。(2)モデル装置の製作
1 材 料 (単位はmm)
・透明半球 φ215 1個 ・透明アクリル板 300×300×3 1枚 ・塩ビ板(黄色) 600×30×0.7 1枚 ・ベニヤ板 300×300×4 1枚 ・長ボルト φ 5 長さ120 4本 ・ナット φ 5 16個 ・ピアノ線 φ 2 長さ300 1本 ・ピアノ線 φ 1 長さ600 1本 ・プラスチック玉 4個 ・塩ビ管 φ 3 長さ100 1本 ・油ねん土 若干