福島県教育センター所報ふくしま No.62(S58/1983.08) -008/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

教 育 工 学

TP製作の基礎・基本

−TP製作の具体的手順を中心として−

経営研究部  山 田   明

 1.はじめに
 TPを自作する際,書く文字の大きさや行数,カラーシートの貼り方,マスキング用紙のフレームへの止め方などに,もう少し工夫と配慮があれば,きれいで使いやすく,しかも,効果的なTPができるのに,自己流で作っている先生方がいることを,教育工学の講座を担当して知った。
 OHPの機能や特性等については,どの本にも書いてあるが,TP製作の具体的手順や製作上の配慮等は案外少ないので,今回は,TP製作の基礎・基本に限定して,まとめてみることにした。

 2.TP自作の意義
 教材研究にさえ時間のとれない多忙な仕事の中でわざわざTPを作らなくても,市販TPがあるではないかという人がいる。確かにいろいろなTPが市販されている。でも,市販TPは,全国の児童・生徒を対象にして作られた全国共通版である。これに対して,自作TPは,教師自らが指導しようとしている児童・生徒を対象として作った地域限定版である。授業での利用にあたっては,自作TPは,すぐ利用でき効果も大きい。しかし,市販TPは,児童・生徒の実態に即していない部分もあるので,広域カリキュラムを自校化して使用するのと同じように手を加えて使用するなどの工夫が必要である。

 同じ単元を,同じ教材を使用して授業をしても,授業者が変われば,指導力や教材に対する見方・考え方が変わるため,授業の中味も変わってくる。ここに,教師の個性にあったTPが必要になってくる理由があるのである。教師がTPを作る一連の作業は,教材研究であり,授業改善,授業創造の過程である。このTP製作の経験を通して,教材を見つめる目,教材を使用する方法を自分のものとすることができ,さらには,市販TPのより効果的な活用法をみいだすことができるようになる。

 3.TP製作の具体的手順
 シートに書く文字の大きさは,小学校低学年なら1.5p角,中、高学年で1.2p角,中学生以上で1p角の大きさがほしい。ペンの色は,青、紫、緑,赤などで,はっきりと見やすくゴシック体で書くとよい。文の字数や行数は.文字の大きさによって変わるが,要点を整理して,簡潔明瞭に書くことが大切である。以上がTP製作の基本である。
(1)原図を書くための用紙
 TPを書く時,いきなりシートに書く人はいないはずである。よいTPを作りたいなら,必ず完成TPと同じ原図を書き,原図が完成したあとで,その上にクリアシートをのせ,油性ペンで写しとって,製作する技法を実行してほしい。市販のファックス用原稿用紙でもかまわないが,自分専用のオリジナル用紙を印刷して作っておくことを勧めたい。
 たて,よこ26pの正方形を,4o方眼と5o方眼の2種類で,更紙に印刷しておくとよい。5o方眼を3目盛ずつ使うと1.5p角,4o方眼を3目盛ずつ使うと1.2p角,5o方眼を2目盛ずつ使うと1p角というように,必要に応じて字の大きさや行数を自由に変えることができる。

(2) フレームを原図用紙にのせ,内枠を写す
 使用するフレームの内枠の大きさを示す印を,初めから原図用紙につけておいてもよい。フレームの内枠を写しとるということは,有効画面を決め,その枠内に文字や図を書けば,全部投影されることを意味している。しかし,上下左右1〜2pの余白を残してその内側のセフティーゾーン内に原図を書いたほうが,投影時見やすい画面になる。
原図用紙

(3) 原図を正確に書く
 原図を正確に書くことが,よいTP作りの基本である。原図の段階でよく考え,内容を十分吟味すべきである。オーバーレイの方法でTPを作る時にはオーバーレイするシートの枚数に応じて,マザーシートの分は赤ペンで,2枚目のシートの分は青ペンでというように,色ペンを使って文字や図などを書いておくと,後の作業がしやすくなる。

(4) 原図にシートをのせ,油性ペンで写しとる。
 原図ができたら,クリアシートをのせ,油性ペンで写しとる。この時,原図とクリアシートが作業の途中で動いてしまわないように,左右1カ所くらい


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。