福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -005/042page

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学習指導と評価

数学科における総括的評価についての一考察


教科教育部    三 浦 光 孝

1.はじめに
 学習指導要領の改訂に応じて,指導要録も改訂された0この改訂のねらいは,「このたぴの指導要錆の改訂に当たっては,斯学習指導要領に即したものとするとともに,指導要録が一層学校における指導の役に立つよう意を用いたところである。……」(文部省初等中等教育局長 諸澤正道「『指導要録の解説』の監修のことば・ぎょうせい)と述べられているように,指導と評価の改善を図ろうとするものである。このような趣旨にそって,評価や記入の方法が改善され特に,「各教科の学習の記録」については,従来の「所見」を「観点別学習状況」に改め,学習指導要領に示す目棲の達成状況を.観点どとに評価することになった。

 このことを,中学校の数学科に限っていえば,関心・態度の観点については,授業中の観察記録や自己評価の結果などを累積して評価することが多いし,また,知識・理解,技能,数学的な考え方については,単元未や学期未,学年末における総括的評価テストを実施し,その結果を重視して評価することが多いであろう。後者については.形成的評価の結果を累積して評価することも考えられるが,それだけでは必ずしも十分ではないと思われる。なぜなら,形成的評価の目的は,評価結果を直ちにフィードバックし,つまずきを回復させることにあるので,形成的評価の結果が「未達成」であった生徒が,そのまま「未達成」でいるとは限らないからである。また「達成」と評価さわた生徒が,時がたつにつれて忘れてしまうこともあるだろう。それだけに,総括的評価テストのあり瓦 テスト結果の累積や処理の仕方などが大切になってくる。

 そこで,総括的評価のための問題の作り方や基礎資料の作り方を中心に,数学科における総括的評価のあり方について述べてみたい。

2.単元における目標分析と評価
単元の学習終了時における総括的評価を適切に行い,評価の結果を,その後の指導に生かすことができるようにするためには,単元において必ず身につけさせるべき指導目標(以下,こわを単元目標とよぶ)もできるだけ行動目棲化して設定しておく必要があろう。

 また,授業の途中における形成的評価は,授業での目標についての達成状況を適宜確認し.その結果を直ちにフィードパックし,学習欠陥の治療や指導の改善に役立てようとするものであるから,効果的な形成的評価と指導を行うためには,単元目標を更に下位行動目標に具体化しておくことが大切である。

 したがって,学習についての評価の横能が十分発揮できるようにするためには,目標分析は必要欠くべからざるものであるといえよう。

 次の図は,単元における目標分析と評価及び評価問題との関連を示したものである。

図−1


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