福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -006/042page
3.単元末における捲括的評価問題の作成
適切な評価を行い,その結果を指導に生かすために,様々な評価の方法があるが,中でも評価問題は重要な役割を担うものである。したがって,単に問題を作ればよいというわけにはいかず,それぞれの単元目標について,その達成状況が評価できるような問題づくりに努めなければならない。以下,単元末における総括的評価問題の作成に当たって,いくつかの留意すべき点について述べることにする。ア その問題によって,生徒のどのような能力をみようとしているのかについて,教師自身の考え方をはっきりもっていることが大切である。そこで,個々の単元目標について,内容面だけでなく,どのようなレベルでの力を身につけさせたいのかをより明確にするため,次のような表にまとめてみるのも効果的であろう。
イ すべての単元目標について,数個の評価間超を 作成することが望ましいが,目標の数が多い場合には,評価目標のサンプリングを行うことが必要になる。サンプリングに当たっては.形成的評価の結果ほとんどすべての生徒が到達していた目標を省略したり,単元目標間の関連を考えたりすることが大切である。
ウ 個々の問題は,単元目標と必ずしも一対一に対応しているわけではなく,いくつかの目標を同時に含んでいる場合も多い。その場合には,いくつかの小問に分けるなどして,出題のねらいを焦点化させることも大切であろう。しかし,いろいろな知報や技能,あるいは数学的な考え方を砿度して解決するような,総合的な力をみたいというねらいであれば,出題のねらいを絞るために無理に小間に分ける必要はないと考える。
エ 問題の形式についての検討も大切なことである。問題は,個々の目標の達成状況をみるためのものであるから,そのためにどのような形式で出題すればよいかを考える必要があろう。
オ 問題が決まったら,問題と単元目標・観点との対応を,下記のような表にまとめて・みるのもよいであろう。そうすることによって,各問題のねらいも一層明確になるし,テスト全体について,特定の単元目標や観点に偏った出題になっていないかどうかのチェックもでき,バランスのとれた評価が可能になると思われる。
上記の表で,観点については問題の内容によって一つだけ該当するとは限らないので,主たる観点に◎印を,それに次ぐものに○印をつけて表している。なお,関心・態度に関する目標については,授業の中での観察や自己珍断などの結果をもとに評価するのが適切であると考え,ここでの評価問題の中には含めないことにする。
以上単元末における総括的評価問題作成上の留意点について,その主なものを述べてみた。これらのはかにも,問題数や配点,評価基準の設定などに関して配慮すべきことが多くあるが,それらについては,テストの性質,単元目標生徒の実態などによって決定することが必要であろう。
4.総括的評価のための基礎資料づくり
総括的評価結果の利用については,次の二つのことがあげられよう。一つは,生徒の学習のつまずきを回復するため,もう一つは,指導要録などの基礎資料とするための利用である。ここでは,単元末および,学期未・学年末における総括的評価のための基礎資料づくりについて,−例を紹介してみたい。
(1)単元末における総括的評価のための基礎資料 単元末におけるテスト結果を,テストごとに次のような表にまとめてみるのも効果的であろう。一つ