福島県教育センター所報ふくしま No.63(S58/1983.10) -011/042page
教育相談
エゴグラムと自己啓発
教育相談部 野村 忠之
1.はじめに
カウンセリングを通して,来談者が自分の自我 状態の傾向を知ることは,来談者が対人関係を改 善するのに重要な役割を果たす。ここでは自我状 態を把握する方法やその解釈のしかたを紹介して みる。2.エゴグラムとは
エゴグラムは,交流分析でいう自我状態(P− 親,A−大人,C−子供)の働きを簡単明瞭なプ ロフィールとして描きだしたもので,アメリカの 心理学ジョン・デュセイによって考案された。そ れを,九州大学心療内科がチェックリスト形式で 調査できるようにしたものを,当相談部では使用 している。3.エゴグラムの表し方
(1)エゴグラム・チェック リスト(E.C.L)
ここではこのチェック リストをもとに自我状態の分析をこころみる。E.C.Lは質問形式をとり,下図のように作成されている(E.C.Lの一部)
質問数は48問あり,記号AからFまでの内容に区分して設問されている。(各区分はそれぞれ次のような自我状態を表す。)1 記号AはFree Child(自由な子供)
2 記号BはAdalt(大人)
3 記号CはNurturing Parent(養育的な親)
4 記号DはCritical Parent(批判的な親)
5 記号EはAdapted Child(順応した子供)
6 記号FはLie Scale(虚構尺度)
(2)エゴグラムの書き方
小問ごとの解答欄から「そう」と答えた数を 1つ1点として方眼紙に目盛り,グラフを作る。4.エゴグラムの読み方
エゴグラムは,各人によってそれぞれちがった かたちを示す。そこでグラフのかたちからある類 型に分類して読み,更に個々の自我状態の解釈を 行う。(1)エゴグラムの型
自分と他人とのかかわりをもとに類型化すると,次の4つの型になる。
<自他肯定型>
・ NPが高くACが低い山型,他人を認め 強制を排し,十分な思いやりを持って接す ることができる人であり,権威に属するこ となく,自分の王張すべきことは意を尽く して障やかに話す。
<自己肯定・他者否定型>
・ NPとACが低い.アルファベットのN を逆にしたような型であり,自分を積極的 に生かそうとするが,自信過剰になりやす い。