福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -004/042page

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ような正答率得点を提案しているが,参考資料の一つになるだろう。

評価名 達成度の区分 基 礎 的 目 標 発展的目標
最低必要 その他の基礎
単元末 達   成
おおむね達成
達成不十分
0.85〜0.90以上
0.65〜0.70以上
0.65〜0.70未満
0.80〜0.85以上
0.60〜0.65以上
0.60〜0.65未満
0.75〜0.85以上
0.55〜0.60以上
0.55〜0.60未満
学年末
学期末
遠   成
おおむね達成
達成不十分
0.85〜0.90以上
0.65〜0.70以上
0.65〜0.70未満
0.75〜0.85以上
0.55〜0.65以上
0.55〜0.65未満
0.70〜0.75以上
0.50〜0.55以上
0.50〜0.55未満

5.「英語に対する関心・態度」の評価

 5番目の観点である「関心・態度」の達成状況の評価は,各中学校において実践されているが,他の観点に比較し客観的な評価尺度が作りにくいという困難点があり,問題も多い。

 昨年,当教育センターが講座研修者を対象に実施したアンケートの自由記述式の設問に対して

・関心・態度の評価法が適当なものが見いだせないで困っている。
・関心・態度などの情意面の評価についての観点があいまいで,評価するのに不安である。
・「関心・態度」の評価が,非常に主観的になっている。
 などの情意面の評価のあいまいさ,むずかしさを訴えた回答者が多く,困惑ぶりが感じられる。

 ところで,英語に対する関心・態度は,主に授業を通して培われるものであるから,生徒が英語に興味や関心をもって意欲的に学習に参加し活動できるような授業を展開することが前提になる。そのような授業の累績が,英語に対しプラスの態度を形成することになるだろう。羽鳥博愛氏は,英語学習に興味や関心をもたせる重要な要因として「・音声・身近な教材 ・わかるということ,使えるということ」の3点をあげている。

(1)関心・態度の達成目標の設定
 達成目標を設定するにあたっては,まず,生徒の英語学習及び外国の人々や文化に対する反応や意欲を示す構え,あるいは持続性のある心的傾向性を,外に表れる行動によって具体化することになる。
 例えば,次のような手順が考えられよう。

  1.  英語に対する関心・態度の目標が実現した時の生徒は,どのような発言や行動,態度になるかを推定し,その徴候(symptom)を,次の事項などとのかかわりから明確にして個条書きにする。
    ・英語学習への参加
    ・言語活動の指導事項への取り組み
    ・日本語と英語の相違や外国の人々の生活や文化への反応
  2.  1.の全学年的な具体像に基づいて,各学年のあるべき具体像を,生徒の発達段階や英語の目標や学習内容から明確に決める。
  3.  2.の学年の具体像を,各課(単元)の言語活動,言語材料,題材内容との関連からー層具体的に決める。

 1.〜3.の作業が完了した時,「英語に対する関心・態度」の望ましい具体的な生徒像,いわゆるプラスの徴候が浮き彫りになる。これが達成目標である。

(2)関心・態度の評価の基準と方法
 他の4観点のように細かく数量化した基準を設定することは,不可能であろう。
 英語に対する関心・態度として具体化したプラスの徴候に対応するマイナスの徴候を設定し,前者に達すれば「十分達成」◎,後者なら×,その中間なら○などとして記録する。◎を3,○を2,×を1のように数字で表せば,情意面の評価も数量化できる。それでも教師の主観はかなり入る。それを少しでも防ぎ,妥当性を高めるためには,生徒自身による自己評価(診断)や相互評価(guess−who testも含めて)や作文なども併用し判定資料を収集する。
 なお,評価する時期は,他の観点の評価時期とほぼ同じになろう。

6.おわりに

 「観点別学習状況」の評価を適切に行うための手順を確認し考察を試みた。授業における評価活動については,今後ますます研究され,実践されるであろう。だが,そのために教師主導の「目標つぶし」のような授業になることは,避けなければならない。生き生きとして熱気にあふれた授業においてこそ,達成目標は生き,さらに,それを超えて生徒一人一人の個性の伸長が促されると思われるからである。


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