福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -003/042page

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<表1>
<表1>

 そして授業中の評価(形成的評価など)によって,生徒の学習上のつまづきや困難点を明確にし,ただちにフィードバックして補充し矯正して,目標に到達されるように配慮されるのが1単位時間の原則的なあり方である。
 それゆえ,すべての観点について評価することが困難な場合もあり,次のような時期が考えられる。

・課(Lesson)の終了時
・単元(Unit)の終了時
・学期の中間 ・学期末 ・学年末

(2)評価の方法
 方法としては,ペーパーテストとペーパーテスト以外の2通りが考えられる。

 ペーパーテストの場合は,主に総括的評価として実施されるが,問題内容を大問ごとに「聞くこと,話すこと,読むこと,書くこと」の4観点にわけて作成する。その問題内容は,具体的に設定された学年や課(単元)の達成目標に基づいていなければならない。テスト実施後に生徒ー人ー人の正答率を観点ごとに算出し,記録する。その正答率を,学校全体あるいは教科部会などで設定した達成基準によって「十分達成」「おおむね達成」「達成不十分」を判定する。そのような操作を反復し,資料を収集しておくことが考えられる。

 一方,英語の達成目標には,ペーパーテストでは正しく評価できにくいものがある。特に音声面に多い。例えば表1の(ウ)の3(丸囲み数字)「登場人物になりきって,感情をこめて対話文などを音読できる」の評価は,観察による方が的確であろう。ただ,観察法は教師の主観的判断にゆだねられるので,評価の観点をはっきり決め,それにそって評価し数量化することが大切であろう。

 学年末には,ペーパーテストによった判定資料と観察などによった判定資料との双方から,総合的に判定し指導要録に記入することになる。

4.達成基準の設定

 観点別の評価問題などにより,生徒個人の達成状況が,どの程度以上は「十分達成」,どの程度以下どの程度以上なら「おおむね達成」,どの程度以下なら「達成不十分」なのかを判定する基準(standard)が必要になる。

 基準設定に関する基本的なことは,学校全体で検討し共有化する。例えば,生徒全員が達成することを期待される基礎的・基本的な内容の達成目標は高く,「自己表現」や「要約」などのような発展的で高度なものの基準は低く設定するなどは視点の一つになるし,また教科部会などで十分に協議し,具体的に妥当な基準を設定する必要があろう。

 この設定時に注意しなければならないことは,基準が高すぎると,実際は達成している生徒でも「達成不十分」の判定になりかねない。いわゆる「偽未到達の誤り」である。反対に,低すぎる基準であると「偽到達の誤り」を犯す心配がある。共に正しく判定していないことになる。それ故,達成状況を正しく判定できる基準の設定に努めなければならない。

 応用教育研究所長橋本重治氏は,多数の学者の提案や本人の研究結果から,標準的な基準として次の


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