福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -008/042page

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特別活動

学級会活動の活性化

経営研究部  小 林 正 守

1.はじめに

 特別活動は,児童生徒の自主性,協調性,創造性など,今日の社会に生きる人間にとって最も必要とされている人間性の育成を目指す教育活動で,学校教育上重要な意議をもつものである。なかでも児童(生徒)活動は,児童生徒自らが発見した問題を自らの手で自発的・自治的に解決を図っていく実践活動であり,その充実が期待されているところである。

 しかし,最近の児童生徒の傾向を見ると,児童(生徒)活動への参加意欲が乏しくなってきているといわれている。「児童(生徒)会や学級の役員になりたがらないし,選ばれてもしかたなしに参加している児童生徒が多い」,「学級の係が十分機能していない」などの,先生方の声を聞くことが多い。

 このように児童生徒が児童(生徒)活動への参加意欲を減退させてしまった原因は,児童生徒の仲間意識が稀薄になってきていることなども考えられるがより本質的な問題は,指導の実際において児童(生徒)活動のもつ楽しさや良さ,その有効性などを児童生徒に味わわせていないためではないかと考えられる。

 以下,児童(生徒)活動の基礎である学級会活動の活性化を図るための留意事項を,話し合い活動,係活動,集会活動のそれぞれについて論述する。

2.話し合い活動の活性化

 話し合い活動は,学級内の諸問題を話し合いで解決していく活動であり,その中には係活動や隻会活動に関する内容も含まれるので,学級会活動の基盤をなす活動といえる。話し合いの形態や方法は,教師が司会して進める小学校低学年から,教師が助言者の位置にあって,生徒が役割を分担して主体的に運営する段階までさまざまであるが,児童生徒の発達段階に即した適切な指導が望まれる。
 話し合い活動の活性化を図るための方策は種々考えられようが,ここでは,・議題の選定 と ・「集団の規律」の確立 との二点から述べる。

(1)議題の選定
 話し合い活動が真に活性化するか否かは,その議題選定が重要なきめ手であることは論をまたない。
 議題が学級会活動の本質に即した望ましいものであり,その選定やその後の実施計画が適切になされるならば,児童生徒はその議題のもつ問題の解決を通して,望ましい学級会活動を積極的に展開していくことになろう。
 望ましい議題の条件として文部省の青木主任視学官は次のように述べている。
 話し合い活動の望ましい議題とは次の三つの条件を満たすものであり,そのどれか一つを欠いても不十分といえよう。

  1. 学級生活に直結するものであって,学級全員に共同の問題であること。
  2. 児童生徒の自治的活動の範囲と認めることのできる問題であること。
  3. 児童生徒の発達段階にふさわしく,児童生徒が具体的に解決の方法を見い出し得る問題であること。
 ここでの「共同の問題」というのは「みんなで何とかしなければならない問題」を意味し,学級の全員が「めいめい心がければすむ問題」ではない。また,「自治的活動の範囲内」とは,学校の教師が「この間題の解決は児童生徒にまかせてよい」と認めるものを指し,具体的には学校間にいくぶんの差が生ずるであろう。
 このことから,学級内の議題は次のようなものをとりあげるのが望ましいと思われる。

 ア,学級生活内の問題であること。
 イ,学級の児童生徒の多くの者に関係する問題で


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