福島県教育センター所報ふくしま No.65(S59/1984.2) -028/042page
研究実践紹介
豊かな人間性をはぐくむ進路指導の研究
−自分の未来像を描ける生徒の育成をめざして−
福島県立郡山高等学校教諭 相 場 昭市郎
1.はじめに
昭和52年4月開校以来,本校の教育目標(学問の尊重・人格の陶冶・実践力の育成)・地域の特性・生徒の実態などをふまえながら,学校の全体計画や各学年の重点目標を考慮するとともに,各部・各教科・各学年間の連絡・協議を密にし,生徒の自主性と指導性のバランスを図るように,努力を重ねてきた。
進路指導の重点目標としては,「指導体制の確立」「進路指導の充実」「個人指導の徹底」を3本の柱とし,進路指導が卒業学年に偏ることなく,入学当初から3学年までその発達段階に応じて生徒の夢を育てすべての教育活動を通じて生徒が自らの手で,自らの力で,自分なりの進路を切りひらき,そして,10年後,20年後の未来像を措いて,その実現化をめざして努力する姿勢を育成すべく全職員の共通理解の下に鋭意努力を傾注してきた。
開校5年目にして,試行を重ねながらすすめられてきた進路指導に一応の成果がみられ,地域社会の人たちの間にも,徐々に本校に対する評価が高まりつつある。しかし,本校生徒の大多数が上級学校への進学を希望している割には,それを将来の生き方に通じる1つの過程としてとらえている者が少なく進路指導上多くの問題を抱えていることも事実である。
昭和57年度から,県教育委員会の指定をうけ,3ケ月継続で進路指導の研究をすすめるに当たり,無から出発した本校の進路指導の軌跡を,いろいろな角度から分析・点検するとともに改善すべき点は改善し,更に実践・修正を繰り返すことによって進路指導に対する認識理解の適正化および校内体制の確立と生徒の実態に即応する進路指導の効果的な実践を推進していくことにした。
2.研究内容
〔1〕進路指導に対する認識理解の適正化と指導体制が確立されているか。
- 進路指導の原点ともいうべき学校教育法第42条の条文から,その重要性をどのようにうけとめているか
- 学習指導要領の総則の中に取り上げられた進路指導のことを,どのようにうけとめているか
- 法規などの面からだけでなく,生徒の姿の中からも,進路指導の重要性をくみとっているか
- 進路指導の手引き(文部省)などに示されている進路指導の意義やねらいを,どのようにうけとめられているか
- 進路指導主事の役割や任務をどのようにうけとめているか
- 進路指導に取り組む教師の姿勢は,どのようになっているか
- 進路指導の計画・施設・研究などは,どのようになっているか
- 保護者に対する働きかけは,どのようになっているか
〔2〕生徒の実態に即応する進路指導の効果的な実践がなされているか。
- 望ましい進路希望の育成に,どのように努めているか
- 生徒自身に関する理解は,どのようになっているか
- 適切な進路情報の掌握は,どのようになっているか
- 進路相談を含めた進路の選択・決定に適切な指導・援助が行われているか
- ホームルームにおける進路学習が,どのように行われているか
- 卒業生の追指導は,どのように行われているか
3.研究方法
- 進路指導に対する基本的認識理解の面と,指導組織・運営の面について問題点を探ぐる。
- 進路意識の発達の段階・特性などを,各種の調査や検査のデータによって把握する
- 生徒の実態の把握に基づいて,計画の目標を設定する
- 進路指導の方法について,どのようなものが活用できるかを調べるとともに,本校の特質や実情にあった方法をとり入れる。
- 計画を実践していく上で,効果を高めるために,すべての教育活動との関連を図るとともに,保