福島県教育センター所報ふくしま No.70(S60/1985.2) -030/042page
するために必ず指差しをして指導した。
2.半介助による訓練(7月〜10月
自他のくつの区別がつきやすいように,視覚に強く訴えかけられる赤い色で,着脱が不自由な肢体でも容易なように少し大きめなくつにかえた。そして,手指を用いる部分を指差しと声かけをして,本児の「くつを着脱する意志」を高めながら着脱技能の習熟につとめさせた。また,くつの底を押したり引いたりするなど半介助し,成功感を常に得られるようにした。
3.介助なしでの訓練(10月以降)
くつの着脱をする目的を「折り紙しようね」と教室に行く喜びのように話しかけ,着脱の行動の課題意志の強化につとめた。10月のある日学園行事に参加する本児が母親の目の前で自力で着脱を行い,母の喜びの報告を受け,着脱の自立が確認された。(以下略)
4.今後の課題〈教育課程の改善〉58年度「児童生徒が意思による行動体制がとれる」ように「個々の子どものコミュニケーション能カを高める」研究を「事例」をとおしてすすめてきた。その数は58年度だけで14例である。その結果,個々の子の発達課題の克服が必要であると考え,59年度の教育課程は,図Iのような構造を創案し改善を図った。
教育課程編成の具体方針として「障害の程度・発達段階を具体的に把握し,個別指導ができるようにする。」更に改善努力事項に「指導法の研究を深め特に個別指導の充実に努める」ことにし,毎日の授業の中で,集団の指導を一案,個別指導を二案として,同一時間帯の中で同時にすすめるよう改善を図った。
そうした授業の充実のために,より厳密な授業案の作成が必要となってくる。図Uは,そのための授業の構造図」である。試行の域をでないが,59年度は,より確かなものにするための実践研究が引き続き行われている。新しい授業法の体系化のためには今後,学校の組織をあげて理論的にも実践的にも研究を深めていかねばならないと日々努力中である。
以上
参考文献・資料(特に考究されたもの)
○梅津八三氏を中心とする「交信理論」
○スキンナーを代表とする「オペラント理論」