福島県教育センター所報ふくしま No.74(S60/1985.12) -016/038page

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研究報告

生徒指導の充実を図るための学年会の改善

二本松市立二本松第二中学校教諭  須 貝 啓 ニ

1.研究の趣旨

 望ましい人間関係を促進させる第一歩は,教師が常に,生徒をよりよく理解しようとする努力を組織的,計画的に展開する生徒指導によって進められるものである。このことをもとにしながら,本主題を設定するにあたって,実態調査や観察等をもとに,分析してみた。

(1)生徒の実態

  1.  純農村地域である三つの小学校から,入学してきたためか,環境にとけこめずに,不安と緊張の中で自己表現が,じょうずにできない生徒がいる。特に,教師の知りたいところや,聞きたいところでは,口をつぐんでしまうことがしばしば見られる。
  2.  授業等では,指名されても声が小さく,自分の考えをまとめて発表することがなかなかできない。
  3.  ことば通いが粗野であり,性格的な欠点を本人の前で平気で話すこともある。
  4.  学校のきまりや社会のきまりに対してはそのきまりを批判し,不満をつのらせながら自分の考え方を正当化しようとする傾向が一部に見られる。
  5.  放課後の部活動は,全員参加で参加の姿勢は積極的であり,また,活動も活発である。

(2)教師の実態

  1.  学級担任とはいえ,学級の生徒と接する機会が少なく,短学活を含む教育課程における接し方は,指導面や指示伝達面が多く,生徒とゆっくり話し合う時間がとりにくい。
  2.  学級集団や所属する係や集団において,所属欲求を満たす学級づくりや,個を認める集団づくりに努めてはいるが,改善すべき点が多々ある。 そこで,できるだけ生徒の気持ちを理解し,閉ざされている心を聞かせ,授業面でも,生活行動面でも生徒と教師が気楽に話し合えるような雰囲気づくりを,学年経営の中に位置づけなければならない。そのことが,生徒との人間関係を深め,ひいては,今日的課題である積極的な生徒指導にもつながると思い,この主題を設定した。

2.見とおし

 学年経営において,心を閉ざしている生徒に対しその生徒の諸条件を考慮しながら,学年通信,生活記録や係活動等をとおして,他に認められる場を提供してやれば生徒の成就感が芽ばえ,生徒と教師の人間関係を深めることができるであろう。

3.研究の方法と対策

(1)研究推進の基本姿勢

  1.  すべての生徒を「伸びる可能性をもった生徒」としてとらえ「ピグマリオン効果」を活用して研究を推進していく。
(2)研究の方法
  1.  学年経営に関する文献研究と研究の構想の樹立。
  2.  実態の把握と問題点の究明
  3.  改善策の作成と実践
  4.  実践結果の分析と考察
(3)研究の対策
  1.  第1学年生徒 83名(男子36名 女子47名)


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