福島県教育センター所報ふくしま No.76(S61/1986.6) -019/038page

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研修者の感想

中学校技術・家庭(男子)講座を受講して

川俣町立山木屋中学校教諭  遠藤 二郎

1.講義と実験、実習
 前期、後期合わせて8日間の研修に参加する機会を得、多くの先生方から、ご指導いただき大変有意義な研修を行うことができた。講座の中で、特に印象に残ったことを中心に研修日程の順に述べたい。
 <前期>
 「相談的な教師」の講義から始まり、一穴ポンチの製作、ロ一タリーエンジン模型の製作、内燃機関の性能試験など内容はどれも充実したものであった。一穴ポンチの製作実習は、全般的に難しく、特に旋盤加工は使い慣れていないため思うように加工することができなかった。題材としては、おもしろいので、今後の教師開発の参考にしたい。
 ロータリーエンジン模型の製作実習で情報処理室の概要説明があり、その設備のすぱらしさに驚かされた。情報処理に興味があるので、BASIC講座等でぜひ研修したい。エピトロコイド曲線の加工を、NC工作機によって行い、組立てた模型は精度もよく、生徒へエンジンの原理を理解させるためにもよい教具となった。また、後日、パソコンにエピトロコイド関数を用いたプログラムを入力し、ローターの回転のようすをディスプレイに表示させてみた。パソコンでも利用価置が高いので、積極的に導入を図り、教育への活用を活発にしたいものである。内燃機関の特性試験については、理論はすでに学習していたが実際に試験をしたのは初めてで、時間はかかったが性能曲線のグラフを完成できたことは、うれしい。授業では、実際に軽自動車のエンジンの分解、組み立てまで実施してみたが、特性に関することについては、ほとんど教えていないので、今後、基本的な特性を求める方法についても簡単にふれたい。
 栽培技術の動向の講義では、接木作業を取り入れた栽培など新しい分野について学ぷことができた。
 <後期>
 「技術・家庭科学習指導上の諸問題」の講義は、学校教育指導の重点について大変くわしく、また、現状の問題点の分析がなされ、特に個性の尊重と個別化についての考えを明確に指導いただいたことは、これからの授業を展開する上で核がはっきりしてきたように思う。教科指導についても、実践例が豊富に上げられ、なかでも観点別評価と生徒の意欲づけの具体例については、目を開かされた。
 光弾性用構造模型の製作では、エポキシ樹指や偏光板など準備され、製作した物は、ほぞにかかる力を定性的にみごとに表すことができるので、教具としての利用価置は高い。二枚刃かんなの調整法の実習で指導された先生の卓越した技能に感動させられた。今まで、刃の調整などできないと思っていたので、実習で得たことは大きいものがあった。次のSCRやトライアックを用いた電力制御回路の製作は、身の周りに多く用いられるようになってきたので、新しい教材として、興味をもって研修できた。生徒にとっては、PNPN4層構造の半導体の原理の理解は難しいのではないかと思う。これからよく用いられる技術として、OP・Ampの原理から論理回路に進み、半加算器の原理くらいまで学習させればよいのではないかと思っている。現在、電子回路や衛星通信等に興味をもっており、電子通信学会の正員としても、この分野の研究をさらに深めていきたい。

2.おわりに
 8日間の研修を通し、電子関係以外は、ほとんど自信がない分野だったので多くのことを学ぷことができた。ご指導下さった多くの講師の先生方に深く感謝するとともに、講座を一緒に受講された荻野先生、国分先生をはじめ、多くの先生方に、お世話いただき、楽しく、しかも、充実した研修ができたことに、お礼申し上げたい。
 最後に、この講座で学んだことを、今後の実践や研究に生かしていきたいと思う。


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