福島県教育センター所報ふくしま No.78(S61/1986.10) -034/038page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

アイディア紹介

楽しくわかる授業をめざした観察・実験の開発

いわき市立赤井中学校教諭  米本 公久


1 はじめに
 昨年度「いわき理科第一分野研究会」が8人で編成され,「学習意欲を喚起させるための教材・教具の開発を,演示教材を中心に進め,理科嫌いな生徒を減らす」ことを目標とし,生徒が直接見ることのできる,より楽しい,よりわかりやすい観察・実験の開発に取り組んできた。
 その中からいくつか紹介したい。

2 実践例
  (1) 大型水槽を利用した例
  水の力については.日常生活において経験することであるが,装置を大型化し,視覚に訴え,水圧の大きさと水面からの深さについて定性的定量的に理解させたい。そのため大型水槽を用いた。

 1 大型水槽(円筒水槽)の製作
      図1 大型水槽

・ 直径9cm長さ100cmの透明ビニル管,ゴム栓,ハイグリップを購入する。(塩ビパイプ販売店で調達できる。)
・ ビニル管の端にゴム栓をはめ込み,外側からハイグリップで締めつけ,水が漏れないようにする。
・ ビニル管の外側に100cmのスケールをとりつける。
(注)我々のグループでは,200cmのビニル管で実験を行ったが100mで十分な結果が得られた。


 2 ゴム風船を用いて,水圧と探さについて調べた例
 ア 本実験の利点
 大型水槽内にゴム風船を入れ,沈めるにつれ風船は小さくなり.外側のゴム風船は大きくなっていく。このことから,水圧の存在,水圧がすべての部分に働くことについて視覚に訴え理解させることができる。
 イ 実験方法
 (ア)細いビニル管の上下にふくらませたゴム風船をしっかり結びつける。
 (イ)一方のゴム風船を大型水槽内に沈めていき,深さと二つのゴム風船の大きさを比較する。
 (ウ)反対に,水槽内に沈めたゴム風船を引き上げ,同様に調べる。
 ウ 実験結果
実験の写真     実験の写真
水中に沈める風船が水面にかくれたときの結果
両方の風船はほぼ同じくらいの大きさである。
    円筒水槽内のゴム風船を100cm沈めたところ水中の風船はしぼみ外側の風船は大きくなる。


 3 簡易水圧計を製作し,水圧と深さの関係を調べた例
 ア 本実験の利点
 (ア)普通の水槽では,特殊で極く薄いゴム膜でないと良い結果が得られないが,大型水槽の利用により,ゴム風船のゴム膜で目標とする結果が得られる。
 (イ)アクリル円筒容器の製作は困難であるが直方体の容器は簡単に製作できる。
 (ウ)水圧の大きさを視覚に訴えながら,しか

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。