福島県教育センター所報ふくしま No.79(S61/1986.12) -024/038page

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 授業研究の記録の方法にはさまざまな形式と内容のものがあるが,本校で今年度取り入れたのは,前に示したようなごく素朴なものである。ただ,本校の研究主題から考えて,生徒の活動面の記録が取れるように工夫したものである。項目を示すと次の通りである。

1.事前研究会
(1)授業者から「授業の観点・授業のねらい」
(2)授業者から「学習指導案について」
(3)授業者から「生徒の実態について」
(4)授業観察の分担
(5)その他
2.当日の観察事項
(1)確めの内容・時期・方法について
(2)生徒の活動
 ○学習課題の把握・理解について
 ○学習の準備について
 ○予習・復習・家庭学習について
 ○ノート・資料活用について
 ○学習態度について
(3)その他
3.事後研究会
(1)授業者自評
(2)協議事項
(3)反省事項

 記録用紙に示された項目によって,教科部会の話し合いに一定の方向性が与えられ,これを累積することによって校内研修の成果が一つ一つ確かめられるのではないかと考えて実践してみたものである。
(4)変容調査と考察
 今年度の初めに,研究の計画段階で生徒の実態調査を事前調査として実施した。そして12月になってから変容を調べるねらいを持って,同じ調査を実施してみた。下に掲げたのはその一部である。

(8)授業中・楽しいと思うのはどういうときが多いでしょうか。
   調査結果

その結果から,次のように要約することができる。
 ○ 学習内容がわかる,できる楽しさがわかる生徒がふえてきた。
 このことは,本校の校内研修の一つの目標であって,このような生徒が一人でも多くなることを願って,今まで努力してきたのであるが,ここにきてようやく報われた気持ちになることができる。
 このことによって,今年度試みたさまざまな工夫や努力はむだではなかったといえる。やはり生徒たちは,我々の動きをよくみつめていることがわかる。

5.反省と今後の課題

 年度当初,授業研究を中心とした校内研修の研究主題を設定したことは,とても心配なものであった。果して本当に,学校訪問で全教科から指定授業者が出てくるのだろうか。また,教科内での授業研究とは言いながら,全職員が一回ずつは授業研究に取り組んでくれるのだろうか。しかし,その心配は取り越し苦労であったことがわかる。本当にみんなはよくやってくれた。
 これも職員みんなの子どもたちを思う気持ちが支えになっていたと思われる。この強い教育に対する信念をもっともっと大きく,深くしていかなければならない。
 しかし,課題は多い。校内研修のあり方は私にとってまだわからないものの一つである。今回の実践は,どちらかと言えば「学校運営計画」の上に乗せての,いわば学校運営の一つの権成を利用しての推進であったことを思えば,まだまだ本物にはなっていないと痛感する。これが,もっと本質的なものであったなら,喜びはさらに大きかったろうと思われる。
 教師にとって「研修」は永遠の命題である。しかし,それも年齢を重ねるにつれて段々に新鮮さを失って行く。こういう現実の中で,これからの校内研修のあり方は大きな問題をはらんでいる。このことを体験できただけでも大きな収穫であったと思われる。

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