福島県教育センター所報ふくしま No.79(S61/1986.12) -025/038page
研究実践校の紹介 生徒の実態に応じた魅力ある学校づくりをどのように進めたらよいか
−生徒理解に基づく効果的な学習指導のあり方−福島県立遠野高等学校
1.はじめに
本校は,昭和59年に県教育委員会より研究校として指定を受け,標記のテーマを目標として,2年間にわたり研究してきた。本校で従来から実践してきた授業の反省の上に立ち,学力が低く,学習意欲に欠ける生徒が多い小規模校での魅力ある学校づくりはどうあるべきかを考え,全教科で研究を進めた。以下は,その研究実践の概略である。
2.研究主題設定の理由
本校は,いわき市の中でも山間部にあり,1学年3学級の普通科高校だが,現在,8学級(3年が2学級)で,60年10月現在で生徒数289名の小規模校である。いわき市も農山村地域での過疎化現象があらわれ,その不均衡が見られるようになった。そのため,残念ながら,本校への入学志願者は年々減少し,毎年,再募集を実施している。従って,本校へ入学してくる生徒は必らずしも選ばれた適格者ばかりではなく,不本意入学生や,低学力の生徒や,学習意欲に欠ける生徒や,高校生としての自覚に乏しい生徒など質的に多様化しており,そのため,いろいろな問題をかかえることにもなっている。しかし,生徒一人ひとりについてみれば,まだ純朴さも持ち合わせており,そこに望みを託して,これまでも各教科において様々な取り組みがなされてきた。恵まれた自然環境と小規模校としての特質を十分に生かし,生徒一人ひとりと接触することによって生徒理解を深め,生徒の「やる気」を喚起していくことが最も大切であると考え,この主題を設定した。
3.研究の基本方針
(1)生徒の実態と問題点を把握する。
(2)これまでの学習指導の反省の上に立ち,ことさら目新しい物ということではなく,より良い指導法を工夫する。
(3)生徒指導,特別活動などとの連携をはかりながら,望ましい指導のあり方をさぐる。
4.研究実践の概要
(1)生徒の実態調査
本校生徒の意識と生活の実態を把握し,当初に設定した主題に役立たせるため,次の観点について33項目のアンケートを実施した。
1 生徒の学校生活の現状とその取り組む姿勢および考え方。
2 学習活動における生徒の実態と学習意欲。
3 生徒の将来への希望や期待。
以下は,アンケートにおける質問事項とその結果で,( )内数字はパーセントである。