福島県教育センター所報ふくしま No.81(S62/1987.6) -019/038page
3.研究の構想並びに自己教育カが育成された状態像の設定
(1)研究計画設定の概要
研究は、前述の趣旨に基づき、昭和63年3月までとし、初年度は、中間まとめとして図−1のように目標を定め、自己教育カを育てる学校教育の望ましい方向を探り、その成果をまとめることとした。
『自己教育カが育った』という状態はどのようなことか、その状態像を明確にして、これを目指して、研究実践の成果をつみあげていくことを本研究推進の基本とした。とかく、情意的側面、行動的側面の変容を期待する研究は、ややもすると抽象的な概念での表現によって終始してしまう場合が多いが、本研究においては、できるかぎり、「自己教育力が育った具体像」を明確にし、児童・生徒の発達段階に応じて、到達状況をおさえ、これを一つの評定尺度とし研究実践の成果を判断することに心がけた。(図−2参照)
評定尺度(I・II)の作成の過程では研究委員全員による、「自己教育力」とは何か、子供がどのような状況に変容すれば、これが育成されたとするのか、それには、どのような状況(情意面・行動面)をどうとらえれば適切なのか、等々について十分時間をかけ協議・検討を行うこととした。結論として、1.行動的側面から『評定尺度I』を、内面的・情意的側面から『評定尺度II』を作成し、各協力校で事前調査を実施することとする。2.評定尺度の完成までの過程では、県内各校抽出による予備調査を行い、項目内容の修正をくり返し、より適切な内容とするようにする。3.各協カ校による事前調査結果のデータを、当センターのコンピュータを使用し、レーダーチャート表示を行い、集団としての傾向をつかみ、「自己教育力が育成された状態像」から見ての 『陥没要素』 の確認ができるものとする。
4.この調査(評定尺度I・II)は、子供の人間形成を目指した全体像の調査内容であるため、各研究協力校においては、調査結果の陥没要素についてより明確にすることをねらいとして、更に、各実践領域での評定尺度(III・IV)を作成することとした。
このような段階を経て、各学校の教育目標並びに各領域での努力事項を見直し、教育内容の焦点化を図り自己教育力高揚に向けて具体的実践を行うこととした。