福島県教育センター所報ふくしま No.83(S62/1987.10) -024/038page
4. 結果の考察
ア テストの結果の考察
・問題1〜3は、基本文の理解面での設問である。把持率が高いのは、表現活動などを通して、下位の生徒にも良く定着したためであろうと思われる。
・問題4は、基本文に関する表現活動である。回を追うごとに、短時間に次々と文が書けるようになった。
・問題5(総合的な表現活動)でも、事前テストでは、絵をもとに対話文を作るという表現活動に慣れておらず、3/4の生徒は、内容のある文を書けなかったが、把持テストでは88%の生徒が、何らかのまとまりのある文が書けるようになり、質、量ともに、大きな伸びがみられた。イ 学習意識による考察
・グループ活動について
・表現活動について
事後のアンケート調査によると、「難しいけど興味はある」という生徒も含めると、85%の生徒が表現活動に興味を持っており、6月調査に比べると、少しずつ意欲が高まっている。これは日常の授業や休業中にできるだけ表現活動を取り入れてきたことにより、生徒の抵抗感が少なくなってきているためと思われる。
グループで表現活動を行うことについてどう思いますか。
- 良い・・・・・・・64%
- 個人が良い・・・・23%
- どちらでもよい・・13%
賛成意見 反対意見
- 楽しく話し合いながらできる。
- わからないところなど教えてもらえる。
- 自分では思いつかないことがわかる。
- みんなの文など聞けたりするのでおもしろい。
- グループ活動に入っていけない人がいる。
- いろんな意見が出て、まとめるのに苦労する。
グループ活動は、自由な開放された雰囲気の中で、お互いの協力により、より質の高い文を作りあげることができる点で、大きな効果があることがわかった。ただ、グループ活動に入れない生徒も1〜2名おり、そのようなグルーブでは、個人活動が良いと感じた生徒もあった。グループの協力性が、活動を進める上で大きな要素であり、日常、お互いに励まし合い支え合っていくような学習集団づくりが不可欠であることを痛感した。
(3) 結論1. 学習した英語を用いて自分の言いたいことを表現するためには、「表現すべき内容」がなければならない。そのためには、状況設定をすることが大切であり、そうすれば、英語で表現しようとする意欲を持ち、すばらしい創造力を働かせて、文を作ることができるということがわかった。
2. グループ活動を取り入れることによって、お互いにアイディアを出し合い援助し合いながら、多くの英文を話したり書いたりすることができるようになった。学習に遅れがちな生徒も、お互いに教えあったりすることで、表現力は徐々に進歩してきていることがわかった。そして、たとえ英文に誤りはあっても、豊かな内容のある文を書こうという意欲が、その後の授業の中でも見られるようになってきており、今回の仮説は、かなり有効であると思われる。5.反省と問題点
(1) 表現活動は、言語材料の習得段階に応じて、計画的に取り入れていきたい。そのためには、中学校3ケ年の見通しの上にたって、題材を精選し、表現活動についての年間指導計画を作成することが必要である。(2) 総合的な表現活動を、限られた時間の中で数多く行うことは困難である。日常の授業の中では、基本文に関する表現活動を大切にし、地道に表現力をつけていくことが大切である。そして、レッスンの終わりや長期休業などに、総合的な表現活動を行う場を設定し、生徒が英語で自己を表現する機会を計画的に、できるだけ多く与えて、表現力の育成をはかっていきたいと考えている。
6.参考文献 (省略)