福島県教育センター所報ふくしま No.84(S62/1987.12) -013/038page
2.行動療法の技法
(1)古典的条件づけに基づく技法
―行動に先だつ刺激を操作する方法―ここでは、数ある技法のうちで最も代表的な逆制止法について取り上げてみます。
逆制止 の原理信頼できる先生に手をつないでもらうということが逆制止として働き、水に対する不安や恐怖感を弱めてプールに入れるようにしています。
ある刺激に対して不安や緊張の反応が強いとき、これと対立する反応を起こさせる刺激を同時に与えると、不安、緊張は弱まる。 不安や緊張が強い子供の指導にあたっては、逆制止の働きを強めたり、 脱感作法 (不安や緊張の刺激を少しづつ増しながら与えることによって、不安や緊張に徐々に慣れさせる)を組み合わせたりすると、更に効果が上がるものと思われます。
不安や緊張と対立する反応を起こさせる刺激には、大きな声を出す、笑う、運動する、深呼吸する、自律訓練法(次号で紹介)をする、食事をとる、自己主張する、快いイメージを浮かべるなどいろいろあります。(2)道具的条件づけに基づく技法
強化 の原理
―行動に伴う刺激を操作する方法―
行動の後に、子供の喜ぶ刺激を与えると、望ましい行動が強まる。(図4参考) 消去 の原理
回避 の原理
行動に伴う強化刺激を取り除くと、よくない行動が弱まったり、なくなったりする。 ○多動児の指導例
行動の後に、子供の嫌がる刺激を与えると、よくない行動は弱まったり、なくなったりする(嫌悪刺激をさける行動をとる)
指導を開始する前に次のことが大切です。
- 脳の働きの何らかの問題についてチェックする。
- 減弱、除去の対象となる行動・増加・形成の対象となる行動をいくつかにしぼり、具体的な指導目標を設定する。
- 指導計画を立てたり、変容を見たりするための行動の実態(強度、頻度)をとらえておく。