福島県教育センター所報ふくしま No.84(S62/1987.12) -012/038page

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図−3
図−3

 理由の一つとして、たまたま予習をしていったら勉強がよく分かり、先生からほめられ、友達にも認められた。そのことがきっかけとなり、何度か同じ体験を重ねるうちに、毎日予習をするようになったことが考えられます。

 これを刺激と反応(行動)との関係で表したのが下の図です。

図−4
図−4

 はじめにとった行動(予習をする)に対して、これを強めるような刺激(ほめる、認める)が与えられ、何度か同じ行動と刺激の関係を繰り返していくと、やがてはじめの行動は定着する。

 このようにして行動が形成される過程を 「道具的(オペラント)条件づけ」 といいます。

  この他にも行動は、だれか(例えば先生や親)の行動をモデルとして観察、模倣することによって形成されるとする考え方 (モデリング) もあり、実際の人間の行動は、以上のような行動の形成の仕方が相互に関係しあって形成されているものと考えられます。

 ところで、今のご自分の行動はどうでしょう。たまたま足を組んだら楽だった。何度かそうしているうちに、イスに腰掛けるときはいつでも足を組むようになった。だれかのまねをして足を組むようになった。このようにいろいろ考えることができると思います。 
行動は、刺激と反応との繰り返しによって形成される(学習される)。即ち、行動は学習によって形成される。

このような考え方を 「学習理論」 といいます。

1.行動療法とは

 人間の行動が学習によって形成されるものであるなら、問題行動は、誤った学習の結果であると考えられます。

 例えば、反社会的行動を持つ生徒の場合でも、

図−5
図−5

大人の言動をそのままモデルとして学習していたり、たまたま問題行動を起こしたところ、イライラが解消され、このくり返しによって問題行動を学習した場合などが考えられます。

 従って、問題行動を個人の責任と考えるのではなく、学習のさせ方の問題と考え、誤った学習を取り除いたり、正しい行動の学習を新たにさせたりすることが必要になってきます。

行動療法とは
学習理論に基づき、問題行動を除去したり、望ましい行動を形成させたりする方法で、その基本的な考えは、刺激を操作することによって行動(反応)を変えることです。

 尚、行動療法は、問題行動の治療のみならず、学習の仕方やしつけを身につけさせるときのように、広く行動を変容させる試みとして活用されています。


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