福島県教育センター所報ふくしま No.84(S62/1987.12) -015/038page
研修者研究報告―(学校経営A講座)
教化力や感化力のある生徒指導を推進するための学校経営
郡山市立大槻小学校教頭 伊豆田 俊雄
1.研究の趣旨いじめ、登校拒否、校内暴力、児童生徒の自殺他、青少年の非行の激増等から、マスコミを中心に教育の荒廃が叫ばれている。誠に残念である。
本校では、生徒指導について全教師が協力して子ども達が自己実現を図ることができるよう努力しているが、なお、改善すべき問題点として、(1)生徒指導の体制が十分に効果的に機能しているとはいえない。
これらの原因として、教師は共感的理解の重要性を認知しながらも、知識や概念にとどまり、教師サイドの対応になっていないかということが考えられる。
(2)基本的生活習慣の指導にも、マンネリ化している面が多くみられる。
(3)指導の適宜性と継続性が十分でない等があげられる。(1)小学生だから大きな事故になるまいとする学校種別による価値判断。
臨教審第1次答申で「現在の学校は、ともすれば教師中心の発想になり、子どもの立場からものを見る姿勢が乏しくなりがちである」。2次答申では「学校は子どもの意識や環境の変化に十分に対応していない」。と指摘している。
(2)これまで大過なく指導してきたとする自信。
(3)子どもの意識や、物的、精神的、地理的、人的環境は知りつくしているとする意識等はどうであろうか。そこで子ども達は、教師の日頃の言動、生きざまをどのようにとらえ、(注)教化・感化されているかを調査し、今後の生徒指導に資し、教化力、感化力のある学校を構築する一助にしたいと考え上記の主題を設定した。
2.研究の見とおし次のような対称的な二つの実態調査をし、結果を分析、考察することによって
(1)子ども達は、教師のどのような言動に刺激を受け、生活に影響を受けているか。(感化)
(2)教師は、子ども達にどのような言動で接し、また、それら言動に、子ども達はどのように受け止めていると意識しているか。(教化)が明らかになり、さらに感化については、生徒指向行動(目的行動)と自己指向行動(無目的行動)に、教化については社会的規範と自己抑制・生き方に分ければ、教師と子どもの意識のずれ、教師の言動から子ども達に及ぼす影響力がわかり、改善策がみつけ出されるであろう。
3.研究の方法と対象
(1)研究の方法(2)研究の対象
- 教師にみられる日常頻度の高い言動を抽出して整理
- 中1生徒(本校を卒業して日の浅い)を対象に小学校教師の印象、影響力を調査
- 本校職員を中心に市内の教師から、子どもとのふれあいに関しての実態調査
- 調査結果の整理と検討・分析・考察
4.研究の結果と考察
- 中学1年生278名 (男148、女136)
- 市内教職員95名 (男47、女48)
(1) 感化(その1) 表―1
教師が子ども達にとって、よい相談者・理解者であろうとする指導的意図が著しく
1.生徒指向行動(1・3・4・9・14・16・19)