福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -005/038page
【7 学習と指導】 本時7/9 段階 学習のねらいと活動 指導 評価 はじめ(3分) 1.集合し、本時の学習計画を確かめる 2.シュート競争をする。
・すばやく集合させる。 ・ウォームアップも兼ねる。
・協力してできたか。 なか 1(15分) 3.ゲームをする。
ねらい 1
自分のチームのつまづきを見つけ、相手をかわしてシュートチャンスを見つけシュートする。
・2/1コート
・1コートA対C 2コートB対F
審判D 審判E
・ルール
トラベリング4歩、ヘルドボール→ジャンプ、自己申告制得点、ノードリブル
・4分→2分→4分
・観察者
指示、応援をする。
相手チームをよく見る
・速攻やフェイントなども使わせる。 ・あいさつはきちんとさせる。
・フリースローはとらない。
・それぞれの役割を決めてゲームを運営させる。
・前時の反省が生かされていたか。 ・良い動きをしていたか。
・各自の力を出し切っていたか。
・思い切りシュートが打てたか。
なか 2(10分) 4.作戦と練習をする。 ・観察者が調べてくれた結果を分析する。
・相手チームの弱いところをみんなで話し合い、それに応じた攻撃法を考える。
・自分のチームのつまづきを見つけ、その防御法を考える。
・できるだけ数多くシュートする作戦を考える。
・グループでよく教え合って練習する。
・攻撃パターンを見つけさせる。 ・観察者からくわしく聞かせる。
・目標がはっきりしたか。 ・よく教え合っているか。
なか 3(15分) 5.ゲームをする
ねらい 2
自他のチームのつまづきを見つけながら、そのつまづきに応じた作戦を工夫して練習し、挑戦する。
・1/2コート
・前半に行ったと同じチームとする。
・ルールは前半と同じくする。
・観察者は自チームの相手を決め、動きをチェックする。
・作戦や練習が生かされているかチェックする。
・作戦どおりのゲームかどうか。 ・やりにくいルールになっていないか観察する。
・作戦は成功したか。 ・自分の役割がきちんと果たせたか。
まとめ (2分) 6.ゲームや作戦・練習を振り返って次時のめあてを決める。 ・グループノートに反省を書く。
・楽しく思う存分プレーできたか。また勝敗の原因についても考えさせる。 ・次時のめあてはそれぞれのチームに合っていたか。
4.授業の結果と考察
上記の授業案に基づいて実践してみた結果、次のような点が明らかになった。< 良かったところ >
< 問題点 >
- 作戦や練習の場面で教え合いが見られ、チームの中の雰囲気が良くなってきた。
- チームが協力していかなければ、勝利に結びつかないことからミスをしても文句を言うことが少なくなってきた。(特に女子)
- ゲーム前のシュート競争では、わずかではあるが、良い結果が表れてきた。(表3)
表3 シュート競争成功本数
時\氏名 A R K D T H 計(本) 第1時 2 1 3 1 0 1 8 第5時 2 2 3 3 2 1 13 第7時 3 2 4 3 3 3 18 第9時 4 2 4 4 3 3 20(+10) 合計(本) 11 7 14 11 8 8 59(+10) - ゼッケンによる点数制や自己申告制得点では、特に技能の高い子が低い子に対してシュートチャンスを与えるようなパスをしていた。
- 1単位時間内で前・後半のゲームに分けたことについては、得点差の大きいゲームでは有効であると思われた。
< 今後の課題 >
- 技能の差が大きく、チームの中で技能の高い子には、物足りなさが残った。
- 身長をグループ分けの基準の一つにしたが、身長が高くてもジャンプして、高い位置でのシュートやリバウンドの処理を十分にしなかったりで、この基準はあまり有効ではなかったと思われた。
- ゼッケンによる点数では、多い数字をつけてがんばりを見せる子と、自分は技能が低いとやる気をなくす子といた。
5.おわりに
- フォーメーションカードを活用させ、一人一人の動きや連携プレーを工夫して、得点に結びつくようなゲーム展開させていきたい。
- 事前の調査だけでなく、毎時間の変容をとらえ一人一人が生かされる場を設定していきたい。
バスケットボールを例に、一人一人を生かす指導の在り方について述べてみたが、今後もその他の領域で一人一人が個人の能力に応じて、「楽しく運動できた」という充足感を味わえるような学習指導法を工夫していく必要がある。
※参考文献
○小学校学習指導要領・体育(文部省)
○小学校指導書体育編(文部省)
○新しい体育の考え方・進め方(大修館) 他