福島県教育センター所報ふくしま No.85(S63/1988.2) -030/038page

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生き方の探求          
評価要素 自己をみつめるなかで 集団生活のなかで 教師のはたらきかけ・その他
I.自分の姿を客観的にみつめ、行動しているか ・生徒自己評価への助言と状況の把握

・ワークシートによる自己分析

・自己の特色と資料を比較した改善点の把握

・集団の前での自己表現指導

・小集団相互の情報交換

    
・児童・生徒理解のための多角的な観察と記録

    

・視点を明確にし場に応じた個別学習

J.責任をもって誠実に物事を遂行しているか   ・集団活動・委員会活動における役割分担

 

・班活動・班学習における係り活動

 
K.集団生活の中で他と共に自分を向上させているか   ・歌や合奏を通し楽しさを味わう集会活動

・相互評価の活用

    

・グループ学習・ペア学習

    

・発表活動の重視

    

・共同研究の設定

・相互に作問し解答する学習
L.生きることに喜びを感じ、充実した生活をおくっているか ・進路ノートを活用した進路目標の確立 ・エンカウンターを活用した自己表現力の育成 ・学習内容を生活の中に生かす場の設定

    

・ホームルーム通信の発行によるラポートづくり

 

図―3 陥没要素を高める指導の手だて(その2)

 第1年次の研究実践後の中間調査では小学校の向上が大きく、結果的に、学年進行と共に低くなる傾向がより強く現われていたが、2年間の長期にわたる実践により、中学校、高等学校における向上も大きく現われ、事前調査のグラフの形のまま全体に押し上げられる結果となった。

 また、全学年を通して低くとどまっていたA(問題意識)、F(解決への見通し)、K(他と共に向上)については、図―2の3(丸囲み数字)にみられるように小学校の中高学年の向上が著しく、中学校、高等学校については、LやCと同様の傾向をみせ、全体的には、学年進行と共に低下するグラフとなったが、それぞれ大きな伸びをみせた。

 主に集団指導の中で加えられた指導の手だてをまとめてみると、図―3のようであった。一つ一つの手だては必ずしも目新しいものではないが、明確な視点に裏づけられた手だてであり、その手だての組合わせの工夫、教師の熱心な姿勢とその指導の継続によって大きな成果が得られたものと思われる。

 また個々の児童・生徒に視点をおいた指導のあり方について、性格的要因や環境的要因を明らかにし取り組んだところ、次のような指導が有効であることがわかった。

 (1) 不安傾向の強い児童・生徒には、それぞれの長所を認め賞賛するなど温かい雰囲気の中で自信をもたせる指導。

 (2) 情緒的には安定しているが意欲に欠ける児童・生徒には、責任を持たせ、さまざまな揺さぶりを与えながら、それを成し遂げさせ、成就感を味わわせるなどの指導。

 (3) 内向的で感情をあまり外に出さない児童・生徒には、発表の機会を多く与え、自己を表現させ、自信をもたせるなど外向性を高める指導。

 更に、ある陥没要素にしぼった指導において他の要素も相互に関連して向上することから、指導しやすい陥没要素に的を絞って指導することで他の要素も向上させることができるものと思われる。

 以上のような結論を得たが、自己教育力は自他を意識して向上するものであり、学級集団やグループ活動など、集団とのかかわりの中で育成されるべきものであることをふまえ、今後、更に継続した実践を積み重ねていきたい。

(担当  斎藤 一哉)


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