福島県教育センター所報ふくしま No.86(S63/1988.6) -018/038page

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・ 自分の自我状態の特徴がお分かりいただけたと思います。その特徴から見て,子供にどのような対応をしやすいか,普段の子供とのかかわりをふりかえりながら以下をお読みください。

挿絵1

 強い指導力を持ち,子供に必要な学力や規範性を鍛え育てていくことができる。しかし,支配的な態度や命令的な口調,ほめるより叱る傾向を持つため,子供を萎縮させ,不安や抵抗の気持ちを生み出す結果にもなりやすい

 子供の失敗や過ちに寛大で,子供を自由にのぴのびと生活させる。しかしややもすると,それが子供の放任につながりやすい。


挿絵2

 子供の苦しみや悲しみをわが身のように共感でき,やさしくいたわり励ますなど,思いやりを持って接することができる。しかし,手取り足取りで過保護過干渉となり, 子供の自立心を押さえてしまう心配もある。

 子供との距離を保ち,不必要な保護や干渉はできるだけ避けようとするさっぱりしたところがあるが,子供への思いやりに乏しいため,子供に信頼感や安心感を持たせにくい。


挿絵3

 感情に左右されず,子供を冷静に見つめ,よく考えて対応することが出来る。また声の調子も穏やかに,分かりやすく教えたり話したりすることが出来る。しかし,Aが強すぎて理屈っぽくなったり,面白みに欠けたりして子供を退屈させやすい。

 その場の雰囲気やその時の自分の気持ちを大切にし,あまり考え込まずに臨機応変に子供に対応出来る。しかし反面不適切な行動を取りがちで子供に迷惑をかけやすい。


挿絵4

 いつもほがらかで,ユーモアを持ち子供を笑わせたり,子供と一緒になって楽しく遊んだりすることが出来る。しかし,感情を素直に表すあまり,子供の気持ちにそわない軽率な言動も取りやすい。

 自分の感情をむやみに表さず,もの静かで,控えめである。しかし子供との楽しいふれあいが少ないため,子供との親密な関係を結びにくい。


挿絵5

 子供の気持ちによく気を配り,子供の気持ちにそおうと努力するもの分かりのよさがある。しかし,気を使いすぎるあまり自分のことを表せずおさえてしまう傾向がみられる。

 子供に安易に妥協せず,自分の考えを最後まで貫き通そうとする強い意志を持つ。しかし,子供の考えや気持ちを受け入れようとしない頑固で分らず屋ともとられやすい。


 一般的に,対人関係においては,自分の自我状態のうちで一番高い部分で反応しやすいとも言われています。従って,まずは自分の子供に対する対応の仕方の特徴をよく知ったうえで,状況に応じた適切な対応が出来るよう,自分自身をコントロールしていくことが大切かと思います。

※ 教育相談では子供の指導援助に当ってエゴグラムチェックリストを活用することがあります。(小学校高学年から実施可能)この場合,子供自身に採点させないこと,検査の結果を伝える場合には,マイナスのイメージを伝えないことなどの配慮が必要です。

 次回の交流分析(2)では,子供と先生とのやりとりを中心に述べていきたいと思います。


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