福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -014/038page

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ウ.基面的なやりとり

 次の図で子供と先生との会話について考えてみましょう。

挿絵1

 子供と先生の会話はうまくいっているようですが,先生の言葉と態度は合っていないようですね。

 実は先生の気持ちの中には,「忙しくて教えられないなあ。どうしよう。」という気持ちがあるのです。

 この二人のやりとりは下図のようになります。

挿絵2

 実線の矢印は言葉のやりとり,点線の矢印は言葉の真にあるやりとりを表しています。

 子供と先生の言葉でのやりとりはうまくいっているようですが,言葉の裏に別のやりとりが隠されています。これが子供と先生の表情や態度となって表れていたのです。

 このように裏面のメッセージがあるやりとりを ”裏面的なやりとり (裏面的交流)” と言います。

 裏面的なやりとりをすると言葉と本心が一致しなくなりますので心の交流が無くなってしまい,結果的に互いにいやな気持ちを味わうようになっていきます。

 このやりとりが子供と大人との間で行われると子供の気持ちはひどく混乱してしまい,情緒が不安定になっていきます。結果的には子供は大人に対する不信感をもち,互いの人間関係が悪化し,しまいには問題行動という結果となって表れる場合もあります。

まとめましょう

 わたしたちはいろいろな人間関係をもっています。その中でやりとり分析を自分なりにすることによって望ましいやりとり(交流)の仕方を身につけることができます。そして,互いに信頼感をもち素晴らしい人間関係を築き上げることができます。

 子供に対しては,子供を十分に理解することができますし,子供が何を期待しているのかが分かると同時に望ましい対応をすることができるようになります。

 なお,ご自分の自我状態の特徴,やりとりの特徴のルーツを探ることが大切です。それは交流分析の脚本分析をすることでできます。詳しくは参考図書をご覧になってください。

 次回は,”グループ・エンカウンター”というテーマで,グループ内での人間関係の作り方を中心にお話します。

<参考図書>

孤独よさようなら 国谷誠朗著     集英社

交流分析     杉田峰康著 日本文化科学社

人生ドラマの自己分析 杉田峰康著   創元社


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