福島県教育センター所報ふくしま No.87(S63/1988.8) -013/038page
子供と先生の会話はそれぞれのどの自我状態でのやりとりでしょうか。
次の図に直線と矢印を入れてみましょう。
図示すると子供のC(チャイルド)から先生のP(ペアレント)に向かった矢印,そして先生のPから子供のCに向かった矢印になりますね。すなわち子供のCと先生のPのやりとりになります。
このように会話を示すやりとりの直線が平行に引ける場合を ”相補的なやりとり(相補的交流)” といいます。このやりとりは互いに期待通りの会話がなされます。
このようなやりとりなら子供は満足した気持ちになり,子供と先生のやりとりはどんどん続くようになります。
例 2もその例です。
イ.交叉的なやりとり(交叉的交流)
次の例について考えてみましょう。
子供: 先生,サッカーやろうよ。
先生: いまは何の時間かな。いま,君達は何をすべきかな。
これは子供のCから先生のCを期待して出された言葉ですが,先生からはA(アダルト)の自我状態から生徒のAの自我状態に返されています。
このように期待した自我状態からの返答がない場合(例 1も同様)のやりとり(交流)を ”交叉的なやりとり(交叉的交流)” といい期待外れのやりとりです。
このようなやりとりの場合,子供は先生の言いたいことはわかるけど,何となく納得できない気持ちになるかもしれませんね。
?先生はどのようにすればよいのでしょうか?
先生が「うん,遊ぼう」と先生のCから子供のCに返せればいいのですが,それができない場合があります。その時には先生のCから「先生もサッカーやりたいな」と一旦先生のCから子供のCに対応した(すなわち相補的なやりとりをした)あとで子供が冷静に判断できるように子供のAに向けて情報を提供するとよいのではないでしょうか。
このように,意図的にこのやりとりを活用することによって,息詰まった会話を新しい方向に展開できることも可能です。