福島県教育センター所報ふくしま No.88(S63/1988.10) -022/038page

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 現状において上記必要条件を阻害しているものは何なのか,どこに陥没点があるのかを明らかにするために「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する調査」の実施であった。−(自己啓発にかかわる調査内容,設問23,県下小・中・高総数,193校572名の先生方対象,そして,学校規模別・教職年代別・男女別に集計し,結果の考察を通して「自己啓発にかかわる問題点〜その要因〜改善の方向」をまとめてみた。(昭和62年度教育センター紀要第71号。分類基準E4−06参照)

3.第二年次研究実践内容(本年度)

 (1) 校内研修推進過程(P−D−S)における問題点の限定と実践課題の明確化

 本年度は,上記調査研究結果から,現在教育現場で校内研修推進上最も改善充実を図らねばならぬ問題点の限定と本研究実践課題を明らかにすることから出発した。次のとおりである。

 「計画の段階」

ア 個人のニーズを生かして研修課題を集約する手続きが不十分である 〜 「児童生徒や教師のニーズを生かした研修課題は,どのような手順方法で集約すればよいか」

イ 研修課題を生かし共通理解を図る研究主題の設定の仕方が不十分である 〜 「研修課題を生かして共通理解を図りながら研究主題を設定するにはどうすればよいか」

ウ 学級の実態や個人の希望・特性をふまえて研修組織をつくることが難しい 〜 「研修意欲を促す研修組稚は,どのような手順・内容でつくればよいか」

エ 到達目標達成までの推進計画が不明確である〜 「到達目標までの過程が明確な年間の推進計画は,どのような内容や手順で作ればよいか」

 「実施の段階」

ア 校内研修の時間は,はぼ位置づけられているが,実質的な確保に乏しく,その活用の仕方も工夫がたりない 〜 「研修時間を実質的に確保するとともに,研修会を効率的に運営して研修の成果を上けるには,どのような方法を工夫すればよいか」

イ 授業の質的改善と授業研究内容の共有化を図る授業研究のすすめ方が不明確なため研修意欲が高まらない 〜 「授業研究内容の共有化を図り,授業の質的改善に結びつく授業研究はどのような手順・内容ですすめたらよいか」

ウ 協働意欲を高めるリーダーのあり方,具体的援助指導の内容・方法が不明確である 〜 「フォーマル・インフォーマルな場におけるリーダーのあり方,配慮点,実践はどうあったらよいか」

エ 推進過程における研修資料の収集・提示・累積・活用が不十分である 〜 「研究主題到達までの資料の収集・提示・累積・活用はどうあったらよいか」

 「評価の段階」

ア 到達目標達成までの研究推進の形成的評価の内容・方法が不明確である 〜 「主題研究推進における形成的評価はどうあったらよいか」

イ 計画・実施・評価各段階における総括的評価が不十分である 〜 「主題研究推進各段階の総括的評価はどうあったらよいか」

ウ 前年度の研究実践や評価内容が次年度に生かされていたい傾向がみられる 〜 「次年度に生かす評価結果活用のあり方はどうしたらよいか」

 (2)あり方・すすめ方の試案作成と協力校への依頼

 現在は,上記の本研究実践課題に対する試案「自己啓発を促す校内研修のあり方・すすめ方」づくりに着手している。計画の段階のア〜エ,実施の段階のア〜イまで進んでいる。これらの試案を県内の研究協力校(福島市立東湯野小学校,福島市立渡利小学校,川俣町立山木屋中学校,伊達町立伊達中学校,福島県立郡山女子高等学校)にお願いし,各校の現職教育推進を通して検討していただきながら,より教育現場の校内研修推進に役立つものに修正し,昭和64年度末には「校内研修ハンドブック」としてまとめ,県下各校へ提示する予定でいる。

      (文責 三津間 安宏)


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