福島県教育センター所報ふくしま No.89(S63/1988.12) -033/038page

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研修者の感想

小学校理科現地講座を受講して

棚倉町立社川小学校教諭 青 木 むつ子

           

1.はじめに

 カヤツリグサ・メシヒダ・オシヒダ・アメリカセンダングサ・イヌヒダ・オオバコ。この講座を受講して,覚えた植物名である。子ども達との野外観察で「これ,なんていうの」と聞かれても,はっきりと答えられなかった私であった。しかし,今度は自信を持って答えることができるようになった。他にも,毎日の授業の中で実際に役立つものを得ることができた。大変有意義だった2日間に学習した内容と感想を以下述べたい。

2.講座の内容

(1) 学校周辺の植物の採集と観察

 小雨の中での野外観察。私にとって一番ためになった講座である。シソ料の茎は四角形。カヤツリグサ科の茎は三角形。マメ科の花はチョウが羽を立てた形。これらなどは実際に触れて確かめたせいか,1年たった今でも鮮明に覚えている。

 また,セロハンテープを用いた花の標本作りでは,マリーゴールドの花弁の多さに改めて驚かされた。おしべ,めしべ等の観察の指導にも大変有効だと思う。

(2) 花や野菜の色についての観察と実験クッキングペーパーの新しい利用方法を学んだ。花弁をクッキングペーパーにはさんで叩き板の間に入れ,木づちで叩く。静かに開くと上下対象に写し取られた花模様があらわれた。きれいだ。その模様は,食酢や重ソウ溶液で変化させることもできる。

 1時間で押し花を作る方法も学んだ。信じられないが,シリカゲルを使えば可能なのだ。色が鮮やかで,しおりや祝電などでみかける押し花は,この方法で作られたのかもしれない。

(3) 動くおもちゃを用いた指導

 全部で8種類のおもちゃを作った。その中で“よちよちドック”(犬の散歩)が,最もおもしろかった。それを学校で子ども達に見せたところ,すごい歓声があがった。フィルムケースとアイスクリームのカップなどで簡単に作れるのだ。今までは,市販されているものを安易に使っていたが,身近な材料で作ることの素晴らしさを知った。

(4) 学校周辺の川原のようすと地層の観察流水のはたらさを理解するために,方形枠法で,れきの大きさや形を調べた。また,流速も実際に計ってみた。高学年を教えたことのない私にとって,すべてが初めての経験であった。

 露頭の調べ方では,塙町の立派な貝化石層を見学することができた。大小の貝化石が,びっしりと入っていて,手でいくらでも取れる。子ども達にも一度見せたいと思う。

(5)自己教育力育成と理科教育

 唯一の講義。上遠野先生から「自己教育力とは,他人から何も言われなくとも自己の能力を伸ばそうとする潜在力である。」とお話をお聞きした。これを育てていくことは,容易ではないが,子どもを指導するうえでとても大事なことであることを痛感した。

3.おわりに

 講義中心の研修に比べて,楽しく,大変勉強になった。この講座で学んだことを生かして,今後子ども達に教えていきたい。理科の授業はどちらかというと苦手だったが,少し自信がついたように思う。

 しかし,まだまだ未熟で,毎日が暗中模索で失敗の連続である。この他にも,気体に関する実験方法や電磁石についてなど学びたいことが沢山ある。

 機会があれば,これらの実技講習会にも是非参加したいと思う。


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