福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -001/038page
巻 頭 言
新たな試みのために
所長 津田俊晴
県教育センターにおいては、教職員の皆様方に親しみをもって、当センターをご利用いただくことを願いながら、福島県教育委員会の重点施策に基づき、諸事業を推進しているところでございます。
平成元年度は、さる3月15日に告示された「新学習指導要領」の趣旨を生かした新しい視点から、学校教育の在り方を研究・検討する大切な年でもあります。
新学習指導要領は、小・中・高等学校において、移行措置の期間を経て実施されて参りますが、これは教育改革路線の重要な道標であると同時に、日本の将来をも左右するものであることに間違いないように思われます。
それだけに、私たち教職員は、これを積極的に受け止め、これまでの教育実践を再点検し新たな実践に取り組む意気込みを持たねばならないのではないでしょうか。
しかし、私の経験では、学校における研究・討議が、得てして微視的になりがちで、ややもすると巨視的な視点への配慮に欠ける場合が多いようで、この点が心配です。
このような事態を意識的に回避するために、研究・討議においては、巨視的な視点と微視的な視点に大別して、アプローチするのがよいのではないかと思っております。
例えば、巨視的なものとしては、新学習指導要領が誕生するにいたった背景、教育改革検討のいきさつ、新学習指導要領の総則などがあり、微視的なものとしては、配慮すべき事項や教科・領域の取り扱い事項などがあるのではないでしょうか。
とにかく、これは新たな試みでありますので、新たな観点に立って検討されなければ意味のないことになってしまいます。
「豊かな心」とはどのようなこころであるか、「たくましく生きる」とはどのような生き方なのか、「国民として必要とされる基礎的・基本的な内容」とはどのようにすれば「個性を生かす」教育ができるのか、・・・・などを具体的な指導内容や方法に結びつけながら研究・討議し、共通理解を図ることが学校においては、最も大切なことのように思われます。
当教育センターにおいては、このようなかあがえのもとに、本県の当面する教育上の課題や実践上の諸問題を取り上げ、先導的な研究を行い、教職員の皆さんの研究・討議に資するよう努めて参ります。
また、2万冊以上の教育図書と同程度の研究資料もあり、これら資料等を教職員の皆さんが気楽に御利用下されば幸いに存じます。
本年度も所員一同精励して参りますので、ご支援くださいますようお願い申し上げます。