福島県教育センター所報ふくしま No.91(H01/1989.6) -002/038page

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特別寄稿(論説)

現職研修の充実

郡山女子大学短期大学部名誉教授

長谷川 壽 郎

1.現職研修とは
(1)現職教育と現職研修

 現職教育も研修も耳あたらしい用語ではないが、現職研修という熟字は、意味内容はわかるとしても、はたして用語として用いられているかと疑ってみたろころ、次のように表現されているのを見付けた。

 -研修については、教職の一生という新任から退職までを見通した 現職研修 の全体計画  が必要である。(下略)〔下線筆者。教育学大辞典2 P.471r.第一法規、1978年、参照〕・・引用。

 また、−教養審は、昭和62年12月、昭和64年度実施を目指して初任者研修制度及び 現職研修     体系の整備を図るべきことを答申した。(下略)〔下線筆者。学校教育辞典P.116、教  育出版、1988年、参照〕・・引用2。

とある。なお、現職教育や研修は、われわれは教職にかかわって述べるわけであるが、これは、何も教職に限って用いられるべきものではない。一般的に述べられことをふまえて考察することが大切であると思うのであるが、このことについて適切な表現と思われものがあるので引用することにする。

  ‐現職教育、現に在職している者に対して、その職務の遂行に不可欠な知識、技能、態度を付  与・育成するために、使用者または任命権者が勤務時間内あるいは勤務期間中に一定の人事計  画にもとづいて行う教育・訓練の総称。現職教育は一般的には、民間企業が行う場合これを企  業内教育・訓練といい、国または地方自治体等が実施するばあい研修と呼んでいる。これらが  組織的、計画的かつ積極的に行われるようになるのは、民間企業、公共機関のいずれも第二次  大戦後であり、アメリカ占領軍の勧告、指示を契機にしている。(中略)また、第一次アメリ  カ教育使節団(1946年来日)が勧告しこれを受ける形で制度化された教育公務員特例法中の  「研修」がある。他方、これと並行して定型訓練方式の日本的改良型として人事院が開発した  JSTがあり、また国家公務員法、地方公務員法での職員の勤務能率の発揮、増進のための研  修がある。とくに民間企業においては、技術革新の発展とともに職務別、階層別の教育・訓練  が組織化、体系化されるようになる。(現代教育学辞典P265,現職教育、労働旬報社、1988  年、参照)・・引用3。

というのである。ところで、この記述からみると、現職教育の内容としての研修ということになるであろう。ところが次のような見解もある。

  ‐現職教育なる用語は、国際的には教師教育を構成する養成教育の対語として用いられている。日本では周知のように、他に教育公務員特例法第19・20条における「研修」という用語があり、  実際にはこれとあまり区別せずに用いている。
   しかし「研修」という用語には更に同法を支える研修本来の理念的意味(自ら学ぶ教師のみが  人を教える権利があるとする自己研修を基底とする考え)が含まれている のに対して、「現職  教育」は「教育」を全面に出すところから、むしろ自己研修やインフォーマルな研修を含めず  に、大学や職能団体、関係行政機関など外部が、教師に対して計画的・組織的に提出する研修の  一形態と見ることが多い。−(前出、学校教育辞典P.148r.参照)・・引用4、下線筆者。

これは引用3のものよりも、教職の視点からと述べており、しかも現職教育はこれを研修の一形態とみているわけである。

以上のことから、原色教育と研修の由来及び両


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