福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -014/038page

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生徒指導・教育相談実践講座

あなたもカウンセラー


_非社会的行動を持つ児童生徒について_

教育相談部 佐久間 益郎・鈴木 喜三郎

 前号では「反社会的行動を持つ児童生徒」とい`事例をご紹介いたしました。

 本号では,「非社会的行動を持つ児童生徒」の事例ということで「不登校」を取り上げてみました。この事例は,ある中学校のS先生が実際に取り組んだものの要約です。

第91号 集団で規則約束を破る女子中学生
第92号 非社会的行動をもつ児童生徒
第93号 家族カウンセリングを必要とする児童生徒
第94号 集団理解と集団指導

腹痛を理由に休みがちになってきた中1男子


夏休みの前後で

 X市郊外にある生徒数500名あまりの中規模中学校。4月から新入生を迎えて新しい年度がスタートしました。にぎやかな新入生を迎えて「今度の新入生は元気がいいね。」と意欲的な取り組みを開始しました。学年内で「生徒指導体制を確立し,強化していこう。」「学級担任,教科担任間での連絡を密にして生徒を把握していこう。」等様々な取り組みを共通理解事項として確認しました。2組担任のS先生は教職2年目の独身で,念願の学級担任になり意欲満々。女性らしくきめ細かな観察力もあり,生徒からも慕われています。

 そんな中でA君も中学校生活をスタートしました。担任からみるとごく普通の1年生。中学校生活の抱負を書いた作文から,小学校時代の友人と別の学級になって淋しがっているということが分かったことと,話し声がやや小さいかなという程度で,特別な注意が必要とは思えませんでした。

 ところが,夏休み後に「腹痛」を理由とした欠席が目立ち始め,9月初めには問題視せざるを得なくなりました。不登校の初期段階が考えられるので,さっそく教頭先生および生徒指導担当にも出席してもらい学年生徒指導協議会(以後学年会)を開き,今後の対策を協議することになりました。

第1回学年会資料及び協議事項
A君に関する一学期の資料
・欠席日数 3日(理由かぜ2日腹痛1日)
・遅刻早退 0日
・教研式知能SS46,学業成績徐々に低下期末テスト143番/186人(中の下)
  小学校からの申し送り事項友人が少なく,内向的であるということのみで,その他は特記事項なし。
・ソシオメトリック・テスト(7月実施)
  結果は周辺児
・その他
  定期家庭訪問(4月)母親と時間20分
   父親 39才会社員(販売業)
   母親 38才パート(午後のみ)


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