福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -030/038page
■アイデイア紹介■
学習指導におけるコンピューターのOHP的な利用
一「三平方の定理」の指導において一いわき市立川前中学校教諭 馬 目 俊 一
1.はじめに
今日のコンピューターが普及している社会状況の中で,コンピューターを教育機器の1つと考え,授業においてその特徴を生かした活用をすることによって,生徒に理解を深めさせたり,思考させるなどの効果的な指導ができるのではないかと考えた。ここでは,1台のコンピューターを動きがあるOHPととらえ,指導を行った実践例の中から「三平方の定理」の場合について,授業における利用法と内容について述べたいと思う。
2.実践例
(1)授業における1台のコンピューターの利用
1.ねらい
OHPや黒板などで十分には説明できなかった動きのある内容や,条件を変化させた場合の内容などを瞬時に見せることによって,学習内容の理解や思考をさせる。
2.システム
○大型ディスプレイ(PC-TV47221型)
○コンピューター(PC-9801LV22)ラップトップ型のコンピューターを使うことによって,据え置き型とは違い,持ち運びができるのでどこででもソフト作成ができる。また,ディスプレイを教室間で移動させることによって1組のシステムでの活用範囲が広がる。
3.ソフトの内容
ア.「三平方の定理」一A
I.角度を変えることによって,直角,鈍角,鋭角三角形を作り,3辺にできる正方形の面積の関係をとらえさせるためのもの。
イ.「三平方の定理の証明」一B
I.定理の証明に等積変形を使うことから,それを確認するためのもの。
II.等積変形→回転移動→等積変形の考えから,定理の証明の仕方をとらえさせるためのシミュレーション。
III.IIと同じ考えから,鈍角,鋭角三角形の場合は,直角三角形のように面積が等しい関係にはならないことを確認させるためのシミュレーション。
なお,ソフトA(自作プログラム)は,3辺にできる面積の関係を棒グラフで生徒に視覚的にとらえさせるようにした。ソフトBは,アニメーション作成ソフト(BroderbudJapan製FFANTAVISION)を使い作成し,リアルな動きで面積の関係をとらえさせるようにした。