福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -029/038page

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般化する過程に位置づけることは,思考の手助けになりむしろ有効であると思われる。

3.図書検索システムでの活用例

 カード型データベースソフトは,住所の管理や名刺の管理などによく用いられるように,複数の記入事項を要素とした定型的なデータを整理するのに有効である。本校では,この市販のデータベースソフトを用いて,図書検索システムづくりを進めている。図書館の蔵書約5,000冊について,必要な項目を打ち込んだ。(注3)

 子どもたちは,どの項目の事項を打ち込んでも該当する内容のある本がすべて画面に呼び出すことができるのである。

 例えば,国語において,「大造じいさんとガン」の読解学習をした子どもが,椋鳩十の他の作品をさがす場合に,「椋鳩十」と検索項目に打ち込むだけで,本校にある椋鳩十の全作品を1冊ずつ呼び出し,「備考」に書いてある簡単な本の紹介を手がかりに読みたい本を選ぶことができる。

図書検索システムでの活用例

 さらには,この「備考」の項目に,関連する教科や単元名,主な学習内容などを付け加え,それらのひとつひとつを検索項目とすることによって,例えば,6年生の社会科の歴史学習で「徳川家光と江戸幕府」について調べようとした子どもが,「徳川家光」とか「江戸幕府」あるいは「鎖国」などと打ち込むだけで,関連する全ての本をさがすことができるのである。

 ソフトの操作は,初心者でも一時間ぐらいでマスターできる程度のものであり,高学年になれば子どもが自分で操作することは十分可能である。

 低学年の児童は実際に本を手にし,挿絵などを手がかりに本を選ぷことも大切であり,こうしたシステムだけに頼ることは避けなければならないが,高学年になれば,社会科や理科の課題を調べるために,こうしたシステムでたくさんの本の中から必要なものを捜し出すという経験をすることも意義のあることである。

 図書室に一台のコンピュータを持ち込むだけで児童のコンピュータリテラシー(注4)を育成することができるだけでなく,読書意欲を高める上でもきわめて有効である。

4.その他の活用

 学校というところは定型的な文書が多い。そこで,ワープロソフトを用いてそれぞれの文書のひな型を一度作成し,ほとんど変更する必要のないところをロック・穴開け設定機能を用いて固定しておけば,必要なときに必要なファイルを呼び出し,必要部分だけを記入するだけですぐに使えることになり,時間の面でも労力の面でもたいへん効率的である。(注5)

5.おわりに

 教室にコンピュータを持ち込み,一斉に画面を見る場合には,ディスプレーの画面では小さすぎるが,コンピュータの画面をOHPを用いて投影する機器を用いることで,この問題は解決する。コンピュータの画面はカラー表示であるが,OHPによって投影された画面はモノクロ(じきにカラーのものも市販されるという)であること,用いるOHPによっては,画面を広げすぎると画面がやや暗くなる,などのマイナス面はあるものの,事象の提示による意欲づけや,問題解決場面での思考の手助け,あるいは学習活動の確認など,たとえ一台のコンピュータであっても,その利用価値は極めて高く,大きな可能性を秘めている。注1)「花子(ジャストシステム)」注2)「デジタルクラフト(ツァイト)」注3)「知子の情報(テグレット技術開発)」注4)コンピュータに対する操作技能や認識注5)「一太郎(ジャストシステム)」


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