福島県教育センター所報ふくしま No.92(H01/1989.8) -032/038page
研修者の感想
パソコンの国ヘウパーヤ
(仏教「方便」)いわき市立三阪小学校教頭 鵜沼 秀雅
ワープロ,パソコン等の言葉を目にする機会が多くなりました。しかし,店頭でそれらの機器に接してもなかなかおもうように動かず,ややパソコンアレルギーになりかけていました。そんな折,この研修を勧められました。
はじめ,所の講師先生は,BASIC言語を研修させたいと予定されていましたが,私をはじめ研修者のほとんどが初心者であったため,これからの教育活動に,直接役立ち,かつ短時間で作成可能な教材支援作成システムづくりの研修に変更して下さいました。研修者の実態をよくとらえられ,KR情報の豊富な研修にして下さいました。予定通りの研修を進めれば,アレルギーはますます強くなっていたかもしれません。
CMIやCAIとは何か,その利用上の問題点などを指導していただいた後,早速5年算数の「文字と式」を例にCAI作りに入りました。パソコンにむかい,テキストどおりにキーボードを操作しますが,「エラー」の連続。(簡単にとはいうものの,講師先生はパソコンを侮ってはいけませんと適当に障害を設定しておかれたり,また,単なるまねに終始しないようにと自分でも創意工夫できる箇所を設けたりして下さいました。)おかげで苦労の連続。研修最後まで作成できるのか何度も不安になりましたが,先生方にお世話になり,何とか完成することができました。『実行』を押して画面が最後まで流れたときの成就感は何ともいえませんでした。新しいことに挑戦するのは大変です。学習者の心がよくわかりました。
この研修によって,パソコンの国ヘウパーヤ(仏教語,方便,ただし嘘も方便とはちがい「宝の国へ近づくこと」)でき,アレルギーも弱まった気がします。講師先生はじめセンターの諸先生方に感謝いたします。
体験を通して得られる感性
一理科現地講座に参加して一伊達郡桑折町立醸芳小学校教諭 武内 雅之
「百聞は一見にしかず」私が理科の授業で児童達によく話す言葉です。聞いているだけではその本質に迫ることはできず,体験を通して初めて,児童の感性を引き出したり,真の理解を得させることができると考えます。しかし,児童達が学習体験の中で,様々な学習欲求を示すものの,その欲求に対する私,そして児童達の備えが不十分であるため,児童達を立ち止まらせてしまうことがしばしばありました。
そんな悩みの解決の基を,この「センター理科現地講座」で学び取ることができました。普段,何気なく見ている校地には,何十何百種類もの草花が常に変化しながら生きています。その草花に,まず,私自身が目を向けなければ,児童達の見取り,そして感じる心は育ちません。児童達の見めようとする気持ちを育てていくには,教師が常に見つめようとする気持ちを持つとともに,児童に見る習慣をつけるための指導の工夫が大切になると強く考えさせられました。
また,一つのものを見るとき,私たちはえてして先入観にとらわれやすいものです。いろいろな視点から見つめることによって,別な姿を見い出せたり,より有効に活用できるのです。講座の中で,身の回りのものを使ったいろいろな教材を見せていただき,大変感動するとともに自分の狭さを思い知らされました。以来,これは何かに使えないものかといった,発想の転換を図る気持ちが育ってきたように感じます。
最後に,センターの先生方には,この講座全般にわたって,親身になってのご指導をいただき,自分の肌で感じる研修ができたことに深く感謝申し上げます。この講座で得たものを十分に生かし私自身の自己教育力を高めていくよう,さらに努力を重ねていきたいと思います。